Web音遊人(みゅーじん)

上野耕平

【チケットプレゼント】二度とないスペシャルな一夜「Yamaha CUSTOM SAXOPHONE YAS-875EX 20th GALA CONCERT」/上野耕平インタビュー

2002年の誕生以来、多くのプレーヤーに愛され続けるヤマハカスタムサクソフォンYAS-875EX。愛用するアーティストが一堂に会する一夜限りのガラコンサートが2023年3月25日、ヤマハホールで開催される。
齊藤健太、池上政人、田中靖人、林田和之、上野耕平というサクソフォン界の俊英5名とピアノの羽石道代、そしてこの日のために集まったスペシャルストリングス。
「超スペシャルな一夜になると思います。自分が出演しないなら、観客として行きたいです」と笑顔を見せる上野に、見どころやYAS-875EXの魅力を聴いた。

クラシックサクソフォンの未来を示唆する

「これだけのプレーヤーの演奏を、同じホールで一夜にして聴けるのはすごいことなんです。僕自身、クラシックサクソフォン奏者との共演は自分のカルテット『The Rev Saxophone Quartet』だけで、これまで経験がありません。そして、今後もおそらくないかもしれません。同じ楽器でも、プレーヤーごとにその個性を引き出した演奏になると思いますので、その違いも聴いていただきたいです」
プログラムは、齊藤×池上×羽石による『チェイサー』(星出尚志)、田中×羽石の『モリコーネ・パラダイス』(E.モリコーネ/真島俊夫編)、林田×羽石の『パントマイム』(P.スパーク)。そして、上野とストリングスによる『サクソフォン協奏曲』(L.E.ラーション)がトリを飾る。

「『サクソフォン協奏曲』は、北欧の作曲家がつくったクラシックサクソフォンのためのオリジナルで、音楽的にも魅力的な作品です。第二楽章はとても美しく、ヤマハホールで聴いたら天から音が降ってくるように感じると思いますよ」
聴きどころは、やはりその第二楽章にあるのだろうと思いきや、上野はきっぱり言い切った。
「いえいえ、全部です。この日一番聴いてほしいのは、サクソフォンは艶やかでいい音で吹くだけの楽器ではないということ。どん底や悲鳴のような音が出たり、そうかと思えば天から降ってくる音に聴こえたり。サクソフォンは、瞬時に変幻自在に音色が変えられる楽器です。この曲は、そうした表現の幅広さがよくわかる作品です」
さらに、オリジナル編成のストリングスのメンバーは、上野が直々にオファーした才能あふれる若手たち。上野が考える、クラシックサクソフォンの未来を示唆する演奏になりそうだ。

人生がそれぞれの“声”になる

サクソフォンは、音を出すこと自体は難しくない楽器といわれている一方で、その先、本当にいい音を出すのは決して容易なことではない。
「人それぞれの声になっていくのには、時間がかかります。人生が音色にあらわれるといったらいいでしょうか。今回の出演者のみなさんはキャリアを重ねた方が多く、全プログラムをとおして奏者それぞれの声が聴けると思います」
もちろん、同じ奏者でも声は変わっていく。上野も「昔と全然違う」と指摘されるという。
「10年前は、いかに艶があって煌びやかな音を並べるかに専心していたのですが、そこから、価値観がアップデートされていき、そして、今もなお変わり続けている実感はあります。『サクソフォン協奏曲』を初めて演奏したのは高校2年生のときでしたが、同じ譜面でもあのとき見ていた音符と今見る音符ではちょっと景色が違うんです。どの曲でもそうですね」
それは奏者にとって、演奏し続けることの面白さ。同時に、聴き手としては聴き続けることの面白さだ。今回のコンサートでは、錚々たるサクソフォンプレーヤーの“今の声”をたっぷり堪能することができる。

上野耕平

サクソフォンがその真価を発揮する一夜に

現在、上野が使用しているのは、ヤマハのカスタムモデルYSS-875EXG(ソプラノ)と購入したその日に即コンサートで披露したというバリトン初のカスタムモデルYBS-82。そして、もっとも使用頻度が高く、今回のコンサートでも使うYAS-875EXG(金メッキ仕上げモデル)だ。
中学1年生のとき、師である須川展也氏のサクソフォンを吹かせてもらう機会があった。
「自分のなかにすんなり入ってくる感じでした。なんていいんだろうと感動し、同じものを買ってもらいました」
それが、初代のYAS-875EX。大学1年生のときに日本管打楽器コンクールで第1位・特別大賞を受賞した後は、前モデルのYAS-875EXGに。その後、2015年には13年ぶりにモデルチェンジされたYAS-875EXが登場する。
「YAS-875EXを手にしてから日が浅かったのですが、我慢できずに2019年秋に新モデルのYAS-875EXGを購入しました。音域での音色のバラつきもありませんし、ナチュラルであることで音楽の本質に近づける。現在、望み得る最高の楽器です」

アドルフ・サックスがサクソフォンという楽器を開発したのは1840年代と、さほど昔のことではない。サクソフォンの曲もまだまだ少なく、楽器としてのすべてのポテンシャルは発揮できていないのでは?と、上野は考える。そのため、委嘱活動にも積極的に取り組んでいる。
「クラシックでありながら歴史をつくっていく過程を今リアルに目撃できる、数少ない楽器がサクソフォンではないでしょうか。」
そして、サクソフォンがその真価を発揮するため、ひとつの足跡を残そうとしているのが今回のコンサートだと熱く語った。

「おそらく、こういう貴重な機会は今後ないと思います。演奏会は空間の共有です。空気の振動や息遣いも、ぜひヤマハホールで聴いていただきたいです」

■Yamaha CUSTOM SAXOPHONE YAS-875EX 20th GALA CONCERT

ヤマハカスタムサクソフォン「YAS-875EX」発売20周年記念ガラコンサート
日時:2023年3月25日(土)18:00開演(17:30開場)
会場:ヤマハホール(東京都中央区銀座7-9-14)
料金:一般 6,000円/学生 4,000円(税込・全席指定)
出演:齊藤健太(サクソフォン)、池上政人(サクソフォン)、田中靖人(サクソフォン)、林田和之(サクソフォン)、上野耕平(サクソフォン)with strings、羽石道代(ピアノ)
曲目:星出尚志/チェイサー、E.モリコーネ(真島俊夫編)/モリコーネ・パラダイス、P.スパーク/パントマイム、L.E.ラーション/サクソフォン協奏曲 ほか
詳細はこちら

■チケットプレゼント

この公演のチケットを抽選で3名様にプレゼントします。
応募方法:Web音遊人Facebookメッセンジャーに「YAS-875EXガラコンサート チケットプレゼント応募」とご記入のうえ、送信してください。
メッセンジャー

応募締切:2023年3月20日(月)AM11:00
※当選された方にのみ、Facebookメッセンジャーでご連絡します(3月22日予定)。
応募(Web音遊人Facebook)はこちら

photo/ 坂本ようこ

本ウェブサイト上に掲載されている文章・画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。

facebook

twitter

特集

五嶋みどり

今月の音遊人

今月の音遊人:五嶋みどりさん「私にとって音楽とは、常に真摯に向き合うものです」

17408views

伊藤亮太郎 弦楽アンサンブル

音楽ライターの眼

N響コンサートマスターと6人の名手ならではの極上のアンサンブル/伊藤亮太郎 弦楽アンサンブル

1277views

楽器探訪 Anothertake

存在感がありながら他の楽器となじむシンフォニックなサウンドが光る、Xeno(ゼノ)トロンボーンの最上位モデル

5503views

楽器のあれこれQ&A

目的別に選ぼう電子ピアノ「クラビノーバ」3シリーズ

3073views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:和洋折衷のユニット竜馬四重奏がアルトヴェノーヴァのレッスンを初体験!

4840views

オトノ仕事人

最適な音響システムを提案し、理想的な音空間を創る/音響施工プロジェクト・リーダーの仕事

2075views

秋田ミルハス

ホール自慢を聞きましょう

“秋田”の魅力が満載/あきた芸術劇場ミルハス

5204views

日生劇場ファミリーフェスティヴァル

こどもと楽しむMusicナビ

夏休みは、ダンス×人形劇やミュージカルなど心躍る舞台にドキドキ、ワクワクしよう!/日生劇場ファミリーフェスティヴァル2022

3120views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

歴史的価値の高い鍵盤楽器が並ぶ「民音音楽博物館」

24393views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:バンドサークルのような活動スタイルだから、初心者も経験者も、皆がライブハウスのステージに立てる!

8009views

パイドパイパー・ダイアリー Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

あれから40年、おかげさまで「音」をはずさなくなりました

4678views

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブにサルサ!キューバ音楽に会いに行く旅

25465views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:注目のピアノデュオ鍵盤男子の二人がチェロに挑戦!

8461views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

世界中の珍しい楽器が一堂に集まった「浜松市楽器博物館」

31083views

音楽ライターの眼

【ジャズの“名盤”ってナンだ?】#043 “平穏な日常”をエンタテインメントに昇華させたジャズ・オリジネーターのワザ ~ ルイ・アームストロング『この素晴らしき世界』編

252views

ステージマネージャーの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

オーケストラのステージの“演奏以外のすべて”を支える/オーケストラのステージマネージャーの仕事(前編)

43206views

われら音遊人

われら音遊人:大学時代の仲間と再結成大人が楽しむカントリー・ポップ

4507views

ピアニカ

楽器探訪 Anothertake

ピアニカを進化させる「クリップ」が誕生

16847views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

7883views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

すべては、あの日の「無料体験レッスン」から始まった

5403views

楽器上達の心強い味方「サイレント™シリーズ」&「サイレントブラス™」

楽器のあれこれQ&A

楽器上達の心強い味方「サイレント™シリーズ」&「サイレントブラス™」

38873views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

8894views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

10197views