今月の音遊人
今月の音遊人:村治佳織さん「自分が出した音によって聴き手の表情が変わったとき、音楽の不思議な力を感じます」
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気軽に取り組めて声のクオリティが上がる充実のトレーニング&メンテナンスメニュー/北條加奈インタビュー
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2023.12.4
tagged: ブックレビュー, 必ず役立つ 合唱の本, 北條加奈
身体の状態を整えて声のパフォーマンスを上げることが、ひいては健康にもつながる。そんなトレーニングとメンテナンスについて解説したのが『必ず役立つ合唱の本~目的別1週間メニュー編』。歌だけでなく、普段の話し声にも応用できるのが特徴だ。著者は、幅広い層に合唱指導を行うボイストレーナー北條加奈。豊富な実践経験と学び、そして長年の発声への探求が、一つひとつの言葉に丁寧に凝縮されている。声をよくしていくために、なぜトレーニングやメンテナンスが必要なのだろう。
「たとえば無意識に上下の歯が触れ合っているだけでも、口を開ける時に緩めたい筋肉が硬くなってしまいます。また長引くマスク生活で、マスクがずれないように意識して話すことも筋肉の衰えにつながります。顔には何種類もの筋肉があり、それをうまく使うことで表情が豊かになり、さらに口の中の自由度が上がることで声の響きによい変化が生まれるようになるのです」
歌うための楽器は自分の身体。だからこそ「楽器奏者が楽器のメンテナンスをするように、自分の身体を整え、身体をうまく使えるよう、筋肉を使いやすくしておくことが大事」と語る。
本書では、そのための具体的なメニューを、基礎力アップ、身体・声・発音それぞれのパフォーマンスアップ、表現力アップといったカテゴリーごとに、イラストや譜例を使ってわかりやすく紹介。
どれも日々の隙間時間に気軽に取り組めるものなので、誰でもすぐに始められる。
「このメニューを処方箋のようにして日常に取り入れていただくと、こんなに硬くなっていたのかと、自分の身体にも興味がわくと思います。身体は一人ひとり違いますので、続けるうちに自分の身体が必要としているメニューが自然と見えてくるかもしれません」
音楽の授業で思うように歌えない、という子どもたちにもお勧めしたい。
「ぜひ親子で一緒にやってみてください。身体の違いがわかって楽しいと思います。また、緊張のコントロール方法にも触れていますので、会社のプレゼンなど、人前で話すような機会にも役立つのではないでしょうか」
高い声も大きな声も、決して力業ではないことを、この本は教えてくれる。自分の身体の個性や癖を知って、声を出しやすい身体に整えていけば、誰でも声のクオリティを上げることができる。
「皆さんはすでに、素晴らしい楽器(身体)をお持ちです。その楽器の本来の魅力を引き出すきっかけに、この本がなれたら嬉しいですね」
発売元:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
料金:1,980円(税込)
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文/ 芹澤一美
photo/ 柏弘一郎
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