今月の音遊人
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週末は家族と過ごし、ピアノの練習は完全に休む/上原彩子インタビュー
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2016.3.22
tagged: 上原彩子, ラフマニノフ, チャイコフスキー国際コンクール, 上原彩子 プレリュードを弾く, 東京オペラシティ コンサートホール
モスクワで開催されるチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で、2002年に、日本人として、また女性としても初めて第一位を受賞してから14年。3児の母として子育てをしながら、世界的なピアニストとして不動の地位を確立している上原彩子。実際に会ってみると、超絶技巧を駆使してエネルギッシュに演奏する姿からは意外なほど、チャーミングで親しみやすい笑顔が印象的だった。
子育てと家事をこなす世界的ピアニスト。どうしてもこの話題になってしまうのだが、水仕事をして、大事な手がアカギレになってしまったこともあるらしい。
「腱鞘炎になったら演奏に差し支えて大変ですが、皮膚が荒れて痛むくらいは我慢です」とこともなげ。子どもたちが学校や保育園に行っている間の、6時間だけを練習に充てているという。
「集中して6時間もやるとクタクタですから、私としては十分かな」週末は家族と過ごし、ピアノの練習は完全に休むという生活リズムが基本だ。「実はこれがいい気分転換になっているんです。月曜日から新鮮な気持ちで練習を始めることができますから」
量よりも質、そして集中力、全く無駄がない。
最近は古楽器にも興味を持ち始めているそうだ。
「今のピアノに比べるとダイナミックレンジは狭いのですが、私にとっては表現の幅が広く感じられます。例えば、指の離し方一つで全然違う音になって、そういうのが面白い」と話してくれた。先日の演奏会では1790年代のピアノを弾く機会に恵まれたそうで、いつかは自分でもそんな古いピアノを手に入れたいと夢は膨らむ。
「でも子どもがもう少し大きくなってからでないと。繊細な楽器ですから壊されてしまうと大変ですからね」と笑う。
10歳でヤマハマスタークラスに進んで以来、ロシア人の先生に指導を受けたことも影響し、ロシア音楽への思い入れは深い。2016年6月3日に、東京オペラシティコンサートホールで開かれるリサイタルでは、最新アルバムに収められたラフマニノフの『13の前奏曲』をメインに、上原ならではの選曲でスクリャービンの作品も演奏される。
「スクリャービンとラフマニノフは同じ時代に生きて、同じ先生にも習った間柄なんです。そんな二人を並べることで、その時代のロシアの空気を感じながら、一緒に楽しんでいただけたらと思っています」
鍵盤から紡ぎ出される、心を波たたせる音の風景。究極のテクニックから生み出される、ロシア音楽の魅力にぜひとも浸ってみたい。
『上原彩子 プレリュードを弾く』
日時:2016年6月3日(金)19:00開演(18:30開場)
会場:東京オペラシティ コンサートホール
料金:S席6,400円、A席5,400円、B席4,300円(すべて税込)
文/ 唐沢 耕
photo/ 阿部雄介
tagged: 上原彩子, ラフマニノフ, チャイコフスキー国際コンクール, 上原彩子 プレリュードを弾く, 東京オペラシティ コンサートホール
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