今月の音遊人
今月の音遊人:曽根麻央さん 「音楽は、目に見えないからこそ、立体的なのだと思います」
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いちどは訪ねたい京都のライブスポットラグ。30周年を迎えた、その人気の秘密とは?
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2018.10.29
tagged: ライブスポットラグ, 京都, Live Spot RAG, 京都RAG
京都の老舗ライブハウスのひとつであり、国内外の一流ミュージシャンや、耳の肥えた音楽ファンに支持されてきた「Live Spot RAG」(ライブスポットラグ/以下ラグ)。全国各地はもちろん、海外からも多くの客が訪れるラグが、2018年10月1日、木屋町三条に看板を上げて30周年を迎えた。
「30年続けてこられた理由を考えると、一重に“音楽”を大切にしてきたからではないかと思います。アーティストのこだわりに応えるスタッフ体制や、きめ細かい機材メンテナンスなど、アーティストが自分の音楽を思い切り表現できる環境づくりがラグの自慢です」と、ラグを運営するラグインターナショナルミュージック取締役・プロデューサーの河上ひかるさん。また、「京都だからやってこられたのだと思います」と河上さん。
「京都には、自分の物差しを持った音楽ファンが大勢います。愛情と厳しさを持った音楽ファンの姿勢が、ラグを育て、より良い音楽を生み出すことにつながっているのだと思います。そんな土壌の街だからこそ、多くのアーティストが『この街で自分の音を出してみたい』『また戻ってきたい』と思うのでしょうね」
ラグインターナショナルミュージックは、ライブハウスの運営だけでなく、リハーサル&レコーディングスタジオや音楽スクール、WEBマガジン『スタジオラグへおこしやす』を展開するなど、多角的に京都の音楽環境を盛り上げてきた。
「ライブハウスのお客様が音楽スクールの生徒になったり、音楽スクールの生徒が講師の先生のバンドでデビューしたり。音楽を通して様々な立場の人が交流し、刺激し合うことで、京都の音楽人脈を増やし、育ててきました」
河上さんに「30年の歴史のなかで一番思い出に残る音楽イベントは?」と聞くと、「毎日歴史が塗り替えられているので、どれかに絞ることはできません」という答えが返ってきた。そして「いろいろあって困るのですが……」と前置きしつつ、忘れられないエピソードのひとつとして、ラグのグランドピアノの歴史を教えてくれた。
「一代目のピアノは、当時無償で調律をしてくれていた調律師さんに『いつまでも無償では悪いから』と話したところ、『自分への謝礼金で月賦が組めるので、グランドピアノを買いましょう!』と提案され、その心意気に感動して購入しました。今でも、彼はラグの一員として貢献してくれています」
二代目のピアノは、京都市円山公園音楽堂で開催されたRAG SUMMER JAZZ FESTIVAL JAZZ IN KYOTO’97の利益で購入。山下洋輔と大西順子が登場したライブは、後にも先にも味わったことのない盛り上がりだったそうだ。そして、現在の三代目のピアノは、クラウドファンディングで常連や関係者などからのご支援で購入。昔ラグに通っていた客から大口の支援があるなど、予想を遥かに超える多くの人達から支援と温かいメッセージが届いたという。
現在、ラグの30年の軌跡を振り返るイベントとして、2019年1月31日(木)まで「RAGフォトコンテスト」が実施されている。
「30周年を機に、私達がつくり上げてきたラグをお客様の写真で振り返り、この先の50年、100年へと続くラグブランドを確立させたいと考えています。私達にとっては当たり前に見える風景が、お客様の目にはどう写っている(いた)のか、お一人お一人の思い出やドラマを見るのが楽しみです」
京都の街で、音楽業界の移り変わりを見てきた河上さん。今後も、音楽を通して人や社会を元気にしていきたいと語る。
「これからの高齢化社会、年を重ねるとともに『どう生きていこうか?』と思い悩む人が増えていくのではないかと思います。ですが“音楽”という友人をつくれば、人生がキラキラと充実したものになると私は信じています。なぜなら、音楽には人間を芯から元気にする力があるのですから!」
所在地:京都市中京区木屋町通三条上ル上大阪町521 京都エンパイヤビル5F
TEL:075-241-0446
●「RAGフォトコンテスト」関連イベント
ライブスポットラグお昼の撮影会「音のないラグへおこしやす」
お昼のラグを一般公開。楽屋をはじめ壁一面のサイン、自然光の入る店内など、日ごろ見られないラグの魅力スポットを探してください。
実施期間:2018年11月8日(木)9日(金)11:00~14:00 ※予約不可、入場無料
文/ 武田京子
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