Web音遊人(みゅーじん)

トロンボーン

初心者なら知っておきたい、トロンボーンの種類や選び方のポイント

スライド管を伸ばしたり縮めたりして音を出すトロンボーン。そのため、なめらかに、無段階に音の高さを変えられるという優れた特長をもっています。かつては、教会内で演奏を許された数少ない神聖な楽器として「神の宿る楽器」と呼ばれていたそうです。知れば知るほど興味がわいてきますね。今回はそんなトロンボーン選びに役立つ情報を紹介します。

Q.トロンボーンにはいくつか種類があるそうですが、それぞれどんな特徴がありますか?

A.トロンボーンは大きく分けて3種類で、演奏する曲のジャンルによって使う楽器が異なります。

■テナートロンボーン
トロンボーンの基本形で、B♭管。ジャズをはじめ、ポピュラー音楽の演奏に多く使用されます。

■テナーバストロンボーン
テナートロンボーンにF管を付けたもので、低音域の発音や操作性に優れています。吹奏楽やオーケストラでよく使用されます。

■バストロンボーン 
テナーバストロンボーンよりもさらに太い管と大きなベルで設計。ジャンルを問わず、最低音パートを担当するときに使用されることが多いです。

 

Q.トロンボーンを初めて購入するのですが、選び方のポイントはありますか?

A.トロンボーンの選び方のポイントは、大きく分けて次の3つです。

1.材質と表面の仕上げ

[管の材質]
管楽器の音色は、形状や管の長さだけではなく、管によって形づくられる空気柱の振動(波形)によって決まります。そのため、管の材質によっても音色が微妙に異なります。トロンボーンをはじめ、金管楽器には、銅と亜鉛の合金である「真鍮(しんちゅう)」が用いられていて、ベル部分の真鍮の種類(銅と亜鉛の比率の違い)によって、音色のバラエティーが生み出されます。
●イエローブラス(亜鉛30%、銅70%):明るく、張りのある音色
●ゴールドブラス(亜鉛15%、銅85%):幅のある豊かな音色

[表面の仕上げ]
ヤマハのトロンボーンは、ラッカー塗装をほどこして仕上げますが、この最後の工程は錆(さび)や汚れから守る目的のほか、音色にも微妙に影響します。
●ゴールドラッカー(金色の塗料を混ぜたラッカーを塗装):シャープでパワフルな音色
●クリアラッカー(透明なラッカーを塗装):固くて暗めの音色、フォルテの音抜けが良い

2.ベルの加工方法

同じ材質であっても、ベル部分が“一枚取り”か“二枚取り”かによって、吹奏の感触や音色に違いが出てきます。

●一枚取りベル:その名のとおり、ハンマーで一枚の金属板(イチョウの葉のような形)を叩いて丸め、合わせ目を溶接して加工します。職人によるハンドメイドのため、仕上がりには個性が出やすいといわれています。ベルの長手方向の振動が強調され、しっかりとした響きをもたらします。
●二枚取りベル:ベル先端の“フレア”と呼ばれる広がりの大きな部分と、広がりの少ない胴部、2枚の板を接合して作られます。一枚取りに比べ、板の厚さが均質で製品にばらつきが出にくいほか、加工が比較的簡単です。一般的に吹きやすく、明るい響きが特徴といわれています。

3.ボアサイズ

「ボア」とは管の円周部分の直径のことをさします。このサイズによって、息の量や抵抗感が変化し、音色に影響をおよぼします。小さい順に、細管、中細管、太管があり、小さいものほど息の量が少なくて吹きやすく、しっとりと繊細な音色になります。逆に大きくなると、息の量も増え、音色・音量ともに豊かで華やかになります。スライドの中管のサイズが上下管で異なるデュアルボアもあります。

●細管:明るく、デリケートな高音が出しやすいので、独奏向きです。ジャズやポピュラー奏者にも好まれます。
●中細管:オーケストラの第一奏者や、太めの音を出したい吹奏楽奏者に好まれます。
●太管:合奏などで音量豊かなハーモニーを作れるので、大編成オーケストラ奏者に好まれます。近年は吹奏楽でも多く使われています。

 

回答:ヤマハ お客様コミュニケーションセンター 管弦打楽器ご相談窓口

オーケストラやジャズ、スカバンドなど、さまざまなジャンルで大活躍のトロンボーン。ベルから響くストレートで豊かな音色は、ソロで演奏するのにも人気があります。ぜひ、ご自分の演奏スタイルに合ったトロンボーンを選んでみてください。

 

 

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:由紀さおりさん「言葉の裏側にある思いを表現したい」

6664views

マリア・カラス

音楽ライターの眼

『マリア・カラス 伝説の東京コンサート1974』が映像アップコンバート&最新リマスター音源で登場

6415views

トランスアコースティックピアノ™

楽器探訪 Anothertake

音量の問題を解決し、ピアノの楽しみを広げる「トランスアコースティックピアノ」

3971views

楽器のあれこれQ&A

目指せ上達!アコースティックギター初心者の練習方法とお悩み解決

98244views

おとなの楽器練習記

【動画公開中】注目の若手ピアニスト小林愛実がチェロのレッスンに挑戦!

9589views

オトノ仕事人

芸術をとおして社会にイノベーションを起こす/インクルーシブアーツ研究の仕事

6592views

久留米シティプラザ - Web音遊人

ホール自慢を聞きましょう

世界的なマエストロが音響を絶賛!久留米の新たな文化発信施設/久留米シティプラザ ザ・グランドホール

19068views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

10677views

浜松市楽器博物館

楽器博物館探訪

世界中の珍しい楽器が一堂に集まった「浜松市楽器博物館」

30476views

われら音遊人

われら音遊人:オリジナルは30曲以上 大人に向けて奏でるフォークロックバンド

4297views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

すべては、あの日の「無料体験レッスン」から始まった

5293views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

29684views

コハーン・イシュトヴァーンさん Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ハンガリー出身のクラリネット奏者コハーン・イシュトヴァーンがバイオリンを体験レッスン!

10095views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

世界の民族楽器を触って鳴らせる「小泉文夫記念資料室」

22270views

音楽ライターの眼

【ジャズの“名盤”ってナンだ?】#035 既存ジャズのセオリーを打ち破って生まれたヒーリング・ミュージック~チック・コリア『リターン・トゥ・フォーエヴァー』編

349views

オペラ劇場の音楽スタッフの仕事 - Web音遊人

オトノ仕事人

舞台上の小さなボックスから指揮者や歌手に大きな安心を届ける/オペラ劇場の音楽スタッフの仕事(後編)

13495views

われら音遊人

われら音遊人

われら音遊人:バンドサークルのような活動スタイルだから、初心者も経験者も、皆がライブハウスのステージに立てる!

7834views

STAGEA(ステージア)ELB-02 - Web音遊人

楽器探訪 Anothertake

見ているだけでわくわくする!弾きたい気持ちにさせるエレクトーン

7404views

ザ・シンフォニーホール

ホール自慢を聞きましょう

歴史と伝統、風格を受け継ぐクラシック音楽専用ホール/ザ・シンフォニーホール

23774views

パイドパイパー・ダイアリー

こうしてわたしは「演奏が楽しくてしょうがない」 という心境になりました

8453views

楽器のあれこれQ&A

モチベーションがアップ!ピアノを楽しく効率的に練習するコツ

41186views

日生劇場ファミリーフェスティヴァル

こどもと楽しむMusicナビ

夏休みは、ダンス×人形劇やミュージカルなど心躍る舞台にドキドキ、ワクワクしよう!/日生劇場ファミリーフェスティヴァル2022

2919views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

29684views