今月の音遊人
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音楽フェスのブッキングや制作をディレクションする/イベントディレクターの仕事
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2019.5.23
tagged: 音楽フェス, オトノ仕事人, サマーソニック, イベントディレクター, Summer Sonic
日本の代表的な大型音楽フェスであるサマーソニック。2000年から毎年開催され、20周年を迎える2019年は、10年ぶりに東京・大阪で3日間同時開催される。ところで音楽フェスにとって最も重要ともいえるのが、出演アーティストのラインアップだ。どんなアーティストが出演するのか、フェスに参加する際は誰もが気になるところ。そこで、音楽フェスを開催する際、アーティストのブッキングなどはどのように行われているのかを、サマーソニックの邦楽部門ディレクターを務める長嶋誠志(ながしませいじ)さんに伺った。
長嶋さんは、国内外アーティストのライブを企画制作する株式会社クリエイティブマンプロダクションの邦楽部部長として、音楽フェスのブッキングやタイムテーブルの作成を担当。サマーソニックでは主に邦楽アーティストのブッキングを行っている。
「サマーソニックは、まずはヘッドライナー、それから洋楽の主要アーティストが決まり、そのうえで邦楽アーティストへの交渉を行っていきます」
出演を依頼したいアーティストには直接連絡を取り、交渉する。それだけでなく、近年は年末の音楽フェスにも足を運び、今の音楽シーンのはやりや、来年はどのアーティストに人気が集まりそうかなど、現場でしか得られないリアルタイムな情報収集に力を入れているという。
「まずは年末に情報を仕入れ、年明けから具体的に動きだします。出演するアーティストを選定し、どのステージに出るかの調整や、出演料の交渉などを進めていきます」
交渉と同時進行で考えなければならないのが、各日のタイムテーブルの組み方だ。
「最近は各地で音楽フェスが増えてきているので、ほかのイベントへの出演スケジュールとの兼ね合いや演出面の希望のほか、野外ステージの猛暑の時間帯も考慮しています。また、具体的に何時の、どのステージでという希望をアーティスト側からいただくこともあります」
細かな調整をしつつも大切にしているのが、開催日によって特色を明確にすること。今年は、20周年にふさわしいロックバンドRED HOT CHILI PEPPERSをはじめ、THE CHAINSMOKERS、B’zに各日のヘッドライナーをオファー。1日は王道ロック、別日はダンスミュージックといった、ヘッドライナーに応じたカラーが出るようにスケジュールを組むことで、観客が参加しやすいフェスづくりを行っている。
「初の日本人ヘッドライナーとしてB’zにオファーした経緯としては、日本の大物アーティストの中でも、何度も出演していただき、我々とつながりの深いアーティストにお願いしたいという想いがあったからです。20周年の歴史の総括からしてやっぱりB’zしかいないと」
2019年はほかにも、これまでのつながりを大切にした出演者が選ばれている。新人の頃から出演し、サマーソニックとともに大きく育っていったアーティストも多く登場する。いまや国内外で人気のBABYMETALもそのうちのひとつだ。
「BABYMETALはいちばん小さなステージ出演からスタートして、2017年、いちばん大きなステージ出演まで上りつめたんです。今年はさらに、2017年に海外ツアーで共演したRED HOT CHILI PEPPERSと同じ日にオファーしました。サマソニの舞台で再会してもらいたくて。そうしたストーリーが実現するときはうれしいですね」
サカナクションも、新人の頃から出演している常連組。2019年は深夜枠で、サカナクションが主催するイベント「NF」とのコラボイベント「NF in MIDNIGHT SONIC」が行われる。これは彼らからのアイデアで実現することになった。
「コラボイベントは、こちらから提案して成立するものでもなくて。アーティスト側からリクエストをいただけるのもやはり信頼関係というか、長い付き合いの中で気軽に情報交換ができるようになった結果だと思います。そのうえで形になるのはうれしいこと。今年はそうした縁がたくさん集まっています」
タイムテーブルが決まったあと、ステージ制作などの運営まわりの仕事は各担当スタッフに任せていく。そのなかで、現場や出演アーティストから出てくるリクエストは、長嶋さんが取りまとめて調整を行っている。
また、サマーソニックは都市型で東西同時開催されるのが大きな特徴だ。3日間開催となる2019年も、東京と大阪で日ごとにアーティストが入れ替わる基本スタイルは崩さない。
とはいえ、アーティスト自身のスケジュールとの兼ね合いで、イレギュラーな場合が出てくることも少なくない。1日目は大阪、2日目は東京で演奏することもあれば、1日目のあとに1日空けて3日目にも演奏することもある。開催当日はアーティストごとにどのような動きが必要になるのか、頭に入れておかなければならない。そうした細かな配慮や調整と、長年蓄積してきた信頼関係により、サマーソニックが出来上がっていくのだ。
「丸一年かけて音楽フェスを作る。大きなパズルを組み立てていくような感覚です。そうしてできた“サマーソニック”という完成形を見ることは、入社して以来15年間、僕にとってもいちばん大きなイベントになっています」
Q.今の仕事に就いていなかったらどんな仕事を?
A.文章を書く仕事に就きたいなと思っていました。若い頃ライブやクラブによく通っていたので、書く題材として、音楽というのは漠然と頭の中にあったんです。大学生の時には雑誌編集の手伝いをしていたこともありました。
Q.好きな音楽を教えてください。
A.ずっと好きなのは、ネタンダーズというバンドです。学生の頃、イベント企画のサークルに入っていて、その時に出てもらったバンドです。今もカフェやライブハウスで演奏しています。ギターがいいんですよね。世代的にはゆらゆら帝国とかそのあたりですね。
Q.学生の頃はどんな音楽を聴いていましたか?
A.レゲエ音楽を聴いていましたね。パンクも好きでバンドをやっていて、ギターとかベースを弾いてましたね。
Q.最近行ったライブは?
A.仕事以外ですよね?行こうと思っていても、行けなかったライブが多いんですけど……。今年はまだ行けてないので、まずいですね(笑)。とくにティーンエイジ・ファンクラブのライブに行きたかったんです。20代の頃から好きなロックバンドです。
Q.休日はどのように過ごしていますか?
A.家で過ごしたり、海の近くに住んでいるので、海に散歩に行ったりしています。あとは、お酒や料理が好きで、最近だと家でワインを飲むことも増えました。来年2020年は東京オリンピックが開催されることもあり、サマーソニックはお休みすることが決まっているので、久しぶりに日本の夏を楽しみたいなと(笑)。スタンドアップパドルなどのマリンスポーツに挑戦してみたいです。
日時:2019年8月16日(金)~18(日)11:00開演
会場:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ(千葉市美浜区)
開場:9:00
料金:1DAY 15,000円、3DAY 39,000円、プラチナチケット(1DAY+プラチナ特典)25, 000円
会場:舞洲SONIC PARK(舞洲スポーツアイランド)(大阪市此花区)
開場:10:00
料金:1DAY 13,800円、3DAY 36, 000円、プラチナチケット(1DAY+プラチナ特典)25, 000円
文/ 清水由香利(RUNS)
photo/ 松永光希
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