Web音遊人(みゅーじん)

ケイコ・リー

深みのある歌声と情感豊かなボーカル・スタイルが魅せる、ケイコ・リー新アルバム『Voices Ⅳ』

名実ともに、日本のジャズ・ボーカル屈指のケイコ・リー。共演したミュージシャンから「楽器と対等に渡りあえる歌手」と絶賛され、第一線で輝き続ける。
2001年の日産ステージアCMソング『We Will Rock You』が、未だ強烈なインパクトをもって耳に残っている方も多いのではないだろうか。
同曲を収録し、大ヒットとなった初のベストアルバム『Voices(ヴォイセズ)』発売から20年。周年を記念したアルバム『Voices Ⅳ』が、2022年10月26日にリリースされる。

メンバーとの渾身の作品&ゲスト・トラックに注目

2002年にリリースされた『Voices』、2005年の『Voices Again』、2011年の『Voices Ⅲ』、そして今回発売される『Voices Ⅳ』。約四半世紀のキャリアのなかで、4枚ものベストアルバムをリリースすること自体が、そもそも快挙といっていいかもしれない。
新作には『Voices Ⅲ』以降、約10年間に制作したオリジナル・アルバムから全16曲が収録されている。
「最初に数十曲選び、そこからふるいにかけて残ったのがこの子たちです。ここ約10年間レコーディングスタジオでレギュラーメンバーと密な時間を過ごし、みんなで創った渾身のトラックばかり。BGMとしても、深く聴きこむのにもいい曲を選びました」
彼女の良き理解者であるバンドメンバーは、野力奏一(ピアノ/キーボード)、岡沢章(ベース)、渡嘉敷祐一(ドラム)というオーソリティ。その至芸にも注目だ。
「私たち4人は、絶対に慣れ合いで音楽をやらない。それは胸を張って言えることです。図的にいうと、私は強い妹(笑)。愛情と思いやりにあふれたお兄様たちが私を支えてくれる感じですね」
もうひとつ、選曲にあたってはゲスト・トラックにもこだわった。ジャズ界のレジェンド渡辺貞夫や、ニューヨークのレコーディングで初めて会ったときからフィーリングが合ったというラウル・ミドンとの共演、さらにジャズの枠を超えて玉置浩二やEXILEのATSUSHIとのデュエットなどビッグゲストとのコラボレーションが収録されている。
「そうしたスペシャルな楽曲を再認識していただいたり、あるいは知らなかった方にも聴いていただけたりしたら嬉しいと思う曲を揃えました」
ケイコ・リーの魅力は、深みのある歌声と情感豊かなボーカル・スタイルにあることは言わずもがな。加えて、世代もジャンルも違うこれだけのコラボを可能にする、人を惹きつける吸引力を感じずにはいられない選曲だ。

若かりし日の日記を読み返すような気持ち

収録された16曲のすべてに、それぞれ思い出と思い入れがある。なかから強いて挙げてもらった推し曲のひとつが、1曲目に据えられた『Fly Me To The Moon』だ。
「もともとは2000年にレコーディングした弾き語りアルバム『ローマからの手紙』に収録したトラックなのですが、今回収録されているのは野力さんが新しくオーケストラのアレンジをしてくれた、2015年の『Love XX』に入っているものです。がむしゃらにやっていた30代のころと15年後の自分——不思議な気持ちで感慨深いです」
ホイットニー・ヒューストンの遺作でもあり、野力がスタジオにヤマハのエレクトーンを持ち込んでオーバーダビング(多重録音)した『I Look To You』も要注目だとか。
「若かりし頃の日記を読み返すと、恥ずかしくなりますよね。今回ベスト盤をつくるにあたってはそれと似たような感覚をもちましたが、かつての自分には今の自分が忘れていた何かがあったという気づきも多くありました。過去10年のケイコ・リーの奇跡をぎゅっと凝縮した1枚です。音楽的には全曲完成度が高いと自信をもっています」

2022年11月4日(金)には、ブルーノート東京で発売記念ライブも行われる。
「アルバムの曲もやりますが、1995年にデビューしてから2022年までのベスト・オブ・ベストという感じになると思います。最近取り上げていなかった楽曲をバンドと私でもう一度調理し、見直すということも大事だな、と」
さらに2022年11月10日(木)には沖縄で、80歳にして現役の世界的ジャズトランペッター日野皓正との豪華ステージも予定されている。
「沖縄でのコンサートは初めてなのですが、これで全都道府県を制覇できることになります。日野さんはものすごいエネルギーを放出される方なので、そのエネルギーを浴びつつ、やりたいと思っています」
2022年12月には兵庫県立芸術文化センターでの公演、そして九州ツアーも予定。唯一無二のケイコ・リーの世界を、ぜひ体感してほしい。

■インフォメーション

●アルバム『VoicesIV』

発売元:ソニーミュージック
発売日:2022年10月26日
料金:3,300円(税込)
詳細はこちら

●2022年公演

11月4日(金)ブルーノート東京(東京都)
11月10日(木)琉球新報ホール(沖縄県)
12月20日(火)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール(兵庫県)
12月21日(木)〜25日(日) 九州ツアー予定
詳細はこちら

オフィシャルFacebook YouTube公式チャンネル オフィシャルTwitter オフィシャルInstagram

facebook

twitter

特集

東儀秀樹インタビュー - Web音遊人

今月の音遊人

今月の音遊人:東儀秀樹さん 「“音で遊ぶ人”といえば僕のことでしょう。どのような楽器の演奏でも、楽しむことだけは忘れません」

12645views

音楽ライターの眼

連載2[多様性とジャズ]マスク着用率が高い日本で“音楽と個人主義”が語れるのかを考えてみた

2194views

Venova(ヴェノーヴァ)

楽器探訪 Anothertake

スタイリッシュで斬新なデザイン。思わず吹いてみたくなるカジュアル管楽器「Venova(ヴェノーヴァ)」の誕生

10631views

知って得する!木製楽器の お手入れ方法

楽器のあれこれQ&A

木製楽器に起こりやすいトラブルは?保管やお手入れで気を付けること

21766views

ホルンの精鋭、福川伸陽が アコースティックギターの 体験レッスンに挑戦! Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ホルンの精鋭、福川伸陽がアコースティックギターの体験レッスンに挑戦!

11080views

鬼久保美帆

オトノ仕事人

音楽番組の方向性や出演者を決定し、全体の指揮を執る総合責任者/音楽番組プロデューサーの仕事

2687views

ザ・シンフォニーホール

ホール自慢を聞きましょう

歴史と伝統、風格を受け継ぐクラシック音楽専用ホール/ザ・シンフォニーホール

24773views

東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

こどもと楽しむMusicナビ

子ども向けだからといって音楽に妥協は一切しません!/東京交響楽団&サントリーホール「こども定期演奏会」

11021views

上野学園大学 楽器展示室」- Web音遊人

楽器博物館探訪

伝統を引き継ぐだけでなく、今も進化し続ける古楽器の世界

13189views

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う 結成30年のビッグバンド

われら音遊人

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う、結成30年のビッグバンド

9854views

山口正介 - Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

この感覚を体験すると「音楽がやみつきになる」

8628views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

30897views

世界各地で活躍するギタリスト朴葵姫がフルートのレッスンを体験!

おとなの楽器練習記

【動画公開中】世界各地で活躍するギタリスト朴葵姫がフルートのレッスンを体験!

7914views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

専門家の解説と楽器の音色が楽しめるガイドツアー

8629views

音楽ライターの眼

【ジャズの“名盤”ってナンだ?】#034 ジャズであることの二律背反をまっとうした“祈り”のシンフォニー~ジョン・コルトレーン『至上の愛』編

885views

梶望さん

オトノ仕事人

アーティストの宣伝や販売促進など戦略を企画して指揮する/プロモーターの仕事

11687views

if~

われら音遊人

われら音遊人:まだまだ現在進行形!多くの人に曲を届けたい

1358views

ヤマハギター50周年を機にアコースティックギターのFG/FSシリーズがフルモデルチェンジ

楽器探訪 Anothertake

アコースティックギターFG/FSシリーズがフルモデルチェンジ

19770views

ザ・シンフォニーホール

ホール自慢を聞きましょう

歴史と伝統、風格を受け継ぐクラシック音楽専用ホール/ザ・シンフォニーホール

24773views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

サクソフォン教室の新しいクラスメイト、勝手に募集中!

4689views

楽器のあれこれQ&A

講師がアドバイス!フルート初心者が知っておきたい5つのポイント

19355views

こどもと楽しむMusicナビ

1DAYフェスであなたもオルガン博士に/サントリーホールでオルガンZANMAI!

3300views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

30897views