今月の音遊人
今月の音遊人:千住真理子さん「いろいろな空間に飛んでいけるのが音楽なのですね」
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海のみえるホールから多種多様なプログラムを届ける/横浜みなとみらいホール
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2022.11.29
tagged: ホール自慢を聞きましょう, 横浜みなとみらいホール, 神奈川県
市民が音楽を身近に感じ、親しむ機会をつくる場所として誕生した横浜みなとみらいホール。「ときめく音楽を 海の見えるホールから」をコンセプトに、抜群のロケーションの中で美しい音響と多種多様なプログラムを届けている。
ひらけた海の港町みなとみらいに建つ横浜みなとみらいホールは2021年1月から約1年10か月の休館を経て2022年10月にリニューアルオープン。より魅力的な空間に生まれ変わった。
「当館は駅から近く、雨の日でも濡れることなくお越しいただけます。そしてなんといっても景観の良さが自慢ですね。ホールの中で音楽を楽しみ、ホワイエに出ると、まるで外に出たような開放感を味わいながら遠く海を眺めることができます。めったにない空間ではないでしょうか」
そう話してくれたのは館長の新井鷗子(あらいおーこ)さん。横浜みなとみらいホールは全面がガラス張りで、外との境界を忘れてしまいそうだ。館外から見ても、この港町と見事な融合を果たしている。
「大ホールのホワイエに、大きなモニュメントが設置されました。照明による色の変化をお楽しみいただけるようになっており、施設の中からはもちろん、外からもその美しさを感じてもらえると思います。また正面玄関もゴールドが印象的なものになり、ホールの存在感がより引き立つようになりましたし、大ホール、小ホール共にカーペットや座席のシートを寒色系から暖色系に変更したことで祝祭感や外の景色との対比がより際立つようになりました」(新井さん)
確かに、現実のさまざまなことを忘れて別の世界へと誘ってくれそうな正面玄関とガラス越しに見えるモニュメントはそれ自体が音楽を奏でているようで、つい足を運んでみたくなってしまう。
しかし、リニューアルしたのは見た目だけではない。安全面はもちろん、アクセシビリティの強化にも力を入れているという。
「まずは変わりゆく耐震基準にあわせ、耐震構造が強化されました。それから障がいがある方、ご高齢の方など、さまざまなご事情をお持ちの方にも当館へお越しいただきやすいよう、バリアフリー面にも力を入れています。具体的には、スロープや車椅子スペースの増設をはじめ、誰でもご使用になれるトイレの拡張などです。アクセシブルに音楽を楽しめる空間を確保したいという願いが今回のリニューアルで形になりました」(新井さん)
一方で同ホールが愛される理由として美しい音響も挙げられる。リニューアル前から、音楽ファンはもちろん、アーティストからも高い評価を得てきた。
「残響がありながらもクリアな響きを楽しむことができます。ホールの場所によって聴こえ方が違うのですが、それぞれの魅力を持っており、それを味わうのもおすすめです。ピアニストの反田恭平さんからもどの席で聴いても良い響きだと、お褒めの言葉をいただきました。以前、“無人オーケストラコンサート”という、オーケストラのメンバーそれぞれにマイクを設置して生演奏を収録し、その音源を収録時の奏者と同位置に置いたスピーカーから出力するプログラムを開催しました。客席だけでなく舞台上などホール内を自由に歩いて、いつものコンサートとは違った音の響きの違いを体感いただきました。それもこの響きがあるからこそ、よりお楽しみいただけるものです。さらに、指揮者のパーヴォ・ヤルヴィさんも音響を高く評価してくださり、ドイツ・カンマーフィルの公演で積極的にご利用くださっています」
横浜みなとみらいホールを象徴するといっても過言ではないほどの存在感を放つパイプオルガン、愛称「ルーシー」は、今回のリニューアルにあたってオーバーホールが行われたという。
「休館期間中、パイプオルガンのメンテナンスにかなりの時間を割いています。時間をかけて手入れをしたこともあり、より豊かで魅力的な響きになりました。また、2022年から第2代ホールオルガニストとして近藤岳さんが就任し、パイプオルガンの魅力を皆様にお届けするためのさまざまな企画や、次世代育成の取り組みなどを考えてくださっています」(新井さん)
最高の音楽を届けるコンサートホールでありながら、市民とのつながりも大切にする。リニューアルを経てさらに進化した横浜みなとみらいホールは、日常の中にあるささやかな非日常を味わいたいときに気軽に出かけられる場所として、これからも人々をあたたかく迎え入れてくれる。
所在地:神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目3-6
TEL:チケット・公演内容について 045-682-2000/ホールご利用、その他について 045-682-2020
大ホール形式:囲み型シューボックス型
席数:2,020席(他に車椅子用スペース14席)
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文/ 長井進之介
photo/ 平舘平
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