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SNSのフォロワー1,000万人超!独創的な音楽性と世界観で絶大な人気を誇るインドネシアの歌姫/イシヤナ・サラスファティ インタビュー
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2023.12.13
tagged: イシヤナ・サラスファティ, ISYANA unplugged in Tokyo with Emiri Miyamoto
インドネシアのミュージシャン、イシヤナ・サラスファティ。
東南アジアでもっとも影響力がある歌姫のひとりであり、作詞作曲家。実力派クラシック・モダンピアニスト、かつエレクトーン、フルート、バイオリン、サックスを演奏するマルチ楽器奏者……。彼女に冠された多くのタイトルが、その才能を物語る。
Instagramのフォロワー数は1280万人以上、YouTubeの登録者数は100万人以上と、のべ人数はほぼ東京都の人口に匹敵。絶大な人気を誇り、2023年10月9日にはヤマハホールで日本初公演も果たしたイシヤナと、音楽プロデューサーとして彼女を支えるケナン・ルイ・ウィジャヤに話を聞いた。
イシヤナは、なぜ人を惹きつけるのか。その答えは、独創的な音楽性と世界観にありそうだ。
クラシック音楽教育を確たる背骨にロックやポップス、オペラなどさまざまなジャンルの音楽を吸収し、独自の世界を構築。自ら作詞作曲し、奏で、歌うイシヤナは言う。
「私が思っていること、私の人生のすべてを届けたい。そして、心から創り出したものは、必ず人の心に届くと信じています」
自らもエレクトーン奏者として活動する一方、イシヤナの音楽プロデューサーを務めるケナンはこう評する。
「イシヤナとは2015年から親交がありますが、考え方やアイディアはとてもリッチでオープン。そして、言葉だけでなく常にアクションを起こすことはすばらしいと思います」
イシヤナは、2023年5月にリリースした最新アルバム『ISYANA』を引っ提げ、この秋ケナンとともに来日し、ヤマハホールでコンサートを行った。プログレッシブ・ロックを思わせる楽曲などオリジナル曲の弾き語りで魅せ、さらに共演したバイオリニスト、宮本笑里とともにバイオリンとピアノ、歌の美しいハーモニーを披露。クラシックの声楽を学んできたイシヤナは、歌声もまたクロスオーバーだ。その歌は神々しくて自由、優美でエネルギーに満ち、たおやかで勇敢。聴く人の感情を喚起する。当日は、日本やインドネシア人のオーディエンスとストリーミングで視聴した人々を魅了した。
インドネシアで生まれたイシヤナは4歳のとき、地元のヤマハ音楽教室でエレクトーンを教えていた母親から音楽を習い始めた。自身も6歳から15歳まで、教室に通ったという。
「子どもたちが、演奏することだけではなく音楽を学べるのはいいシステム。私も音楽を学ぶのが好きで、とても楽しかったです」
エレクトーンを入り口に、新しいことに何でもチャレンジしたいとほかの楽器も演奏するように。作曲を始めたのも、わずか6歳のときだった。
「子どものころは言葉で表現するのが得意ではなかったのですが、音楽では自分の素直で正直な気持ちを表現できたんです。今でも、曲は自然に沸き上がってきます」
15歳のときにヤマハ音楽振興会のインターナショナルジュニアオリジナルコンサートに参加し、世界中の数万人の子どもたちの作品のなかからもっとも優秀な作品の一つに選ばれている。
その後、シンガポールの南洋芸術アカデミーとロンドンのロイヤル・ミュージック・カレッジを音楽学士として首席で卒業。学生時代には、声楽にも打ち込んだ。
「歌を始めたのは、楽器だけでなく音楽全体が好きだから。ただ、歌には歌詞と意味があるので、より特別な表現手段だと感じています」
クラシック音楽の分野での輝かしい経歴を経て、2015年にリリースしたポップ系のデビュー・アルバム『Explore!』は、同年のインドネシア国内の新人賞を総なめに。この大ヒットにより、彼女の名は広く知られることとなった。
イシヤナの母国であるインドネシアの音楽は、日本ではあまり知られていないかもしれない。しかし、日本同様に多彩なジャンルの音楽があふれ、彼女もその影響を受けている。
強くインスパイアされたアーティストが、インドネシアR&Bシーンの立役者といわれるシンガーソングライターのグレン・フレドリー。そして、インドネシア音楽界の偉人、クリシェ。1970年代、アメリカでの音楽活動を経て、インドネシアに帰国。欧米の音楽にガムランなどインドネシアの伝統楽器のサウンドを取り入れ、新しい風を巻き起こした。さらに、インドネシアのクラシック音楽家たちからも影響を受けたとも話す。そこに、イシヤナ・ワールドが内包する音楽性の一端を垣間見ることができる。
アジア全域に活動の場を広げ、勢いに乗るイシヤナに今後について尋ねてみた。
「自分のレコードレーベルがあるので、多くのミュージシャンの音楽活動を後押ししていきたいです。そして、自分自身も世界中でプレイしたいですね」
インドネシア国内にとどまらず多くの人を虜にするに違いないイシヤナ。その活躍に期待が高まる。
文/ 福田素子
photo/ 宮地たか子
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