Web音遊人(みゅーじん)

ジェイク・シマブクロ

今月の音遊人:ジェイク・シマブクロさん「音のかけらを組み合わせてどんな音楽を生み出せるのか、冒険して探っていくのは楽しい」

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

うーん、とても難しい。よく聴いている曲はいっぱいあるし……。その質問は、人生の最期に食べる寿司のネタを考えるのと同じくらい難しいんじゃないかな(笑)。
いろんな角度から答えられると思いますが、ウクレレを最初に習った曲で言えば『きらきら星』ですね。僕のファーストソング。もう一曲は、子どもの頃、ママが寝る前によく歌ってくれたヘレン・レディの『ユー・アンド・ミー・アゲインスト・ザ・ワールド』。今でもこの曲を聴くと眠くなっちゃう。
個人的に好きでよく聴いている曲は、サミュエル・バーバーが作曲した『弦楽のためのアダージョ』。この曲をかけていると、瞑想しているような静かな気持ちになれるんです。非常にパワフルで緊張感あふれるオーケストラの楽曲で、聴く度にそのときの自分に刺激を与えてくれる。パフォーマンスするとき、特にゆったりとしたエモーショナルな曲を弾くときには、この曲から影響を受けていることを感じますね。レナード・バーンスタインが指揮するニューヨークフィルの演奏をはじめ、どのバージョンを聴いてもいつも美しい。僕自身「いつかこんな曲が書けたらな」と思う一曲です。

ジェイク・シマブクロ

Q2.ジェイクさんにとって「音」や「音楽」とは?

音や音楽は、自分が感じていることや思っていることを伝えるひとつの表現ですよね。どんな音でも自分の動きにつながっていて、その瞬間に感じていることが音として出てくるんです。
例えば、部屋に入ってきていきなり机をバンと叩いたら、「怒り」や「興奮」という感情を表しているのだと思うでしょう。それは最も原始的な感情の表現ですよね。
だから、複雑な感情を深く理解することによって、いろいろな音を表現できるのだと思います。それは、ピアノ、ドラム、ウクレレ、どんな楽器でも一緒。
そういう意味で、音や音楽は「世界の言語」なのかもしれません。赤ちゃんが自然とパパやママの言葉を覚えるように、音楽は生まれたときから身に付いているものなんじゃないかな。赤ちゃんはおなかが空くと泣く。その泣くという行為自体が「赤ちゃんの音楽」なんですよね。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人をイメージしますか?

「音で遊ぶ人」はミュージシャンじゃないかな。自分の理に適っているなと思います。音と遊んで音楽を作るのですから。ただ、音作りをするといっても、あらゆる音と音楽はすでに存在しているもの。それらを僕はたぐり寄せてひとつの作品にしているんです。
パズルの断片を組み合わせてひとつの絵を作っていくように、音のかけらを組み合わせてどんな音楽を生み出せるのか、冒険して探っていくのは楽しい。
あらゆるコンビネーションが存在するけれど、自分の好きなように自由に重ね合わせて、自分が楽しむために、そして誰かに聴いてもらうために、音楽をやっている。
ミュージシャンはまさに「音で遊ぶ人」ですよね。

ジェイク・シマブクロ
ウクレレ奏者/作曲家。1976年ハワイ州ホノルル生まれ。4歳からウクレレを始め、高校卒業後、1998年「PURE HEART(ピュア・ハート)」のメンバーとしてデビュー。同年、デビューアルバムをリリース。翌年、ハワイのグラミー賞と称されるナ・ホク・ハノハノ・アワードで新人賞、最優秀アルバム賞などを受賞。ロックやジャズ、ブルース、クラシックなど、多ジャンルの音楽を取り入れた演奏で、ウクレレのイメージを一新し、ハワイアン・ミュージックシーンに大きな影響を与えた。2002年にソロデビュー。2006年に映画『フラガール』のテーマ曲を手がけ大きな話題を呼んだ。2016年、日本デビュー15周年を迎える。
ジェイク・シマブクロ オフィシャルサイト(日本語)http://jakeshimabukuro.jp/
Jake Shimabukuro Official Site(英語)http://jakeshimabukuro.com/

 

特集

今月の音遊人 - 平原綾香さん

今月の音遊人

今月の音遊人:平原綾香さん「未来のことを考えず、純粋に音楽を奏でる人こそ、真の音楽家だと思います」

16731views

音楽ライターの眼

連載18[多様性とジャズ]政治的なテーマを直截に音楽へ注ぎ込んだミンガスの遺志

2579views

楽器探訪 Anothertake

バンドメンバーになった気分でアンサンブルを楽しめるクラビノーバ「CVP-800シリーズ」

8597views

楽器のメンテナンス

楽器のあれこれQ&A

大切に長く使うために、屋外で楽器を使うときに気をつけることは?

62014views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:独特の世界観を表現する姉妹のピアノ連弾ボーカルユニットKitriがフルートに挑戦!

5583views

カッティング・エンジニア

オトノ仕事人

レコードの生命線である音溝を刻む専門家/カッティング・エンジニアの仕事

8122views

音の粒までクリアに聴こえる音響空間で、新時代へ発信する刺激的なコンテンツを/東京芸術劇場 コンサートホール

ホール自慢を聞きましょう

音の粒までクリアに聴こえる音響空間で、刺激的なコンテンツを発信/東京芸術劇場 コンサートホール

14067views

こどもと楽しむMusicナビ

クラシックコンサートにバレエ、人形劇、演劇……好きな演目で劇場デビューする夏休み!/『日生劇場ファミリーフェスティヴァル』

8041views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

13447views

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

われら音遊人

われら音遊人:ずっと続けられることがいちばん!“アツく、楽しい”吹奏楽団

12415views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

クラス分けもまた楽しみ、レッスン通いスタート

5455views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11745views

大人の楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:クラシック・サクソフォン界の若き偉才、上野耕平がチェロの体験レッスンに挑戦

13159views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

13447views

音楽ライターの眼

連載19[多様性とジャズ]我が名を付けたアルバムの革新性とミンガスのリーダーシップ

1664views

地代所悠/コントラバスヒーロー

オトノ仕事人

「コントラバスヒーロー」として音楽と三浦半島の魅力を伝える/音楽で活躍するご当地ヒーローの仕事

2665views

横浜レンタル倉庫(YRS)

われら音遊人

われら音遊人:目指すはフェス! 楽しみ、楽しませ、さらなる高みへ

2796views

“銘器”のその先へ。次世代のフラグシップ―カスタムユーフォニアム「YEP-843(T)S」

楽器探訪 Anothertake

“銘器”のその先へ。次世代のフラグシップ——カスタムユーフォニアム「YEP-843S/YEP-843TS」

3568views

ホール自慢を聞きましょう

ウィーンの品格と本格派の音楽を堪能できる大阪の極上空間/いずみホール

8541views

山口正介

パイドパイパー・ダイアリー

だから続けられる!サクソフォンレッスン10年目

5542views

トロンボーン

楽器のあれこれQ&A

初心者なら知っておきたい、トロンボーンの種類や選び方のポイント

15304views

こどもと楽しむMusicナビ

1DAYフェスであなたもオルガン博士に/サントリーホールでオルガンZANMAI!

4118views

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする Web音遊人

音楽めぐり紀行

太平洋に浮かぶ楽園で、小笠原古謡に恋をする

11745views