今月の音遊人
今月の音遊人:上原彩子さん「家族ができてから、忙しいけれど気分的に余裕をもって音楽と向き合えるようになりました」
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連載48[ジャズ事始め]“アジア”から“江戸”へと回遊を始めた21世紀初頭の日本のジャズ
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2021.11.24
前稿で予告した“この時期”というのは、エイジアン・ファンタジィ・オーケストラが活動していた1990年代から2000年代前半ぐらいをイメージしていただきたい。
1991年に“ジュリアナ東京”がオープン。不夜城でバブルの象徴ともなったこのディスコも1994年に閉店。1997年には5%への消費税率引き上げや北海道拓殖銀行および山一證券の破綻などの影響で、立ち直りを見せていた日本の景気が本格的に後退期へと突入する。
そんな社会情勢の節目だった1998年に産声を上げたのが、大江戸ウィンドオーケストラ。構想と準備に1年半をかけた、“日本初の吹奏楽スタイルのジャズ・ポップス・オーケストラ”という触れ込みだった。
メンバーを紹介する当時の資料から、その一文を引用しよう(一部修正あり)。
「メンバーの大半は、ここ数年日本のポップスシーンを賑わしたホーンセクションの入ったバンド“オルケスタ・デ・ラ・ルス”、“米米CLUB(BIG HORNS BEE)”、ジャズ界のベテラン、フュージョン界からは“DIMENSION”のほか、J-POPやCMで活躍しているホーンの勇士たちやクラシック界の若手アーティストたちを起用している。(中略)指揮者には、オペラを中心に活動しているが、東京交響楽団や新日本フィルハーモニー交響楽団等の管弦楽団、吹奏楽では東京佼成ウインドオーケストラ、東京吹奏楽団等、また乗泉寺吹奏楽団を指揮指導し、全日本吹奏楽コンクールで3年連続金賞受賞するなど、あらゆる分野で活躍のめざましい“時任康文”を起用している」
メンバーはおおよそ50人弱の大所帯で、1998年4月の東京芸術劇場大ホール公演のゲストは村上“ポンタ”秀一(ドラムス)、2000年9月のサントリーホール大ホール公演のゲストは木住野佳子(ピアノ)、2001年10月の東京芸術劇場大ホール公演のゲストは吉川よしひろ(チェロ)、2002年10月の東京芸術劇場大ホール公演のゲストは村上“ポンタ”秀一(ドラムス)をそれぞれ迎えて、「ホルストの協奏曲からテレビの主題歌まで」という幅広いレパートリーから選曲したプログラムを披露した。
なお、2000年公演は『大江戸ウィンドオーケストラ Live In 2000』、2001年公演は『大江戸ウィンドオーケストラ Live in 2001』、2002年公演は『Another Orthodoxy』のタイトルで、音源がCD化されている。
次回は、大江戸ウィンドオーケストラと既成のポップス・オーケストラや吹奏楽との“文脈”の違いについて触れてみたい。
富澤えいち〔とみざわ・えいち〕
ジャズ評論家。1960年東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる生活を続ける。2004年に著書『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)を上梓。カルチャーセンターのジャズ講座やCSラジオのパーソナリティーを担当するほか、テレビやラジオへの出演など活字以外にも活動の場を広げる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。『井上陽水FILE FROM 1969』(TOKYO FM出版)収録の2003年のインタビュー記事のように取材対象の間口も広い。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。
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文/ 富澤えいち
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