今月の音遊人
今月の音遊人:藤井フミヤさん「音や音楽は心に栄養を与えてくれて、どんなときも味方になってくれるもの」
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鮮烈な日本デビューから10年!神童から真のピアニストへの道を歩み始めた若き精鋭/牛牛(ニュウニュウ)インタビュー
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2019.3.13
tagged: ピアニスト, 牛牛, ピアノの森, リスト:ピアノ・ソナタ〜ヴィルトゥオーゾ&ロマンティック・ピアノ作品集, 「ピアノの森」パン・ウェイ 不滅の魂, ピアノ
わずか10歳で旧EMIクラシックスと契約を結び、『ニュウニュウ・プレイズ・モーツァルト』で衝撃のアルバムデビューを果たしたピアニスト、牛牛(ニュウニュウ)。2009年にはサントリーホールにおいてソロリサイタル(同ホール最年少記録)を開催し、「神童」として大きな話題を呼んだ。その後、ニューイングランド音楽院を経て、ジュリアード音楽院で研鑽を積み、2018年9月にDECCAから移籍第1弾となるアルバム『リスト:ピアノ・ソナタ〜ヴィルトゥオーゾ&ロマンティック・ピアノ作品集』をリリース。音楽とピアノに真摯に向き合い、神童から真のピアニストへの道を歩み始めている。
「今回のアルバムに収めたのは、すべてロマン派の作品です。リスト『ピアノ・ソナタ ロ短調』をメインディッシュに、フレンチのディナーを楽しむように聴いていただけたらいいなと思います。冒頭のメンデルスゾーン『ロンド・カプリチオーソ』は、アペタイザー。詩的な情緒、技巧的なパッセージ、ユーモア、歌、さまざまな味覚があふれる一皿です。メインディッシュを挟んで配置したショパンとシューベルトの即興曲は、軽くて爽やかなワインをイメージしました。終曲のリスト『ウィーンの夜会:シューベルトによるワルツ・カプリース』はデザートです。ディナーの余韻に浸りながら、ワルツのリズムに乗って、最初に戻って循環するような感覚を味わっていただきたいと思います」
30分以上の壮大な作品、リスト『ピアノ・ソナタ ロ短調』に取り組むことは、大きな挑戦だったと語る。
「この作品は、僕にとって『旅』のように感じられます。ピアノに出会ってから今日に至るまでの歩みを振り返るような気持ちで演奏しました。録音エンジニアから幾つかの部分に分けて録音することを提案されましたが、僕は通して演奏することにこだわりました。困難に立ち向かい、葛藤している自身の姿を描き出したいと思ったのです。3回通して演奏し、ごく一部修正した箇所はありますが、ほとんどライヴのような演奏を聴いていただけます」
このアルバムを引っ提げて、2019年5月から6月にかけて、5年ぶりの日本ツアーを展開する。
「2019年は僕が初めて日本で演奏してから、ちょうど10年になります。サントリーホールでショパンのエチュード全曲を弾いたことなど、懐かしく思い出します。技巧的にはある程度のレベルに達していたと思いますが、音楽的にはまだ子どもでした。ジュリアード音楽院では、現代哲学なども学び、どのように芸術にアプローチすべきかを考えるようになりました。楽譜をじっくり眺め、作品の構造や作曲家の意図を考える時間も多くなりました。そうした僕の成長を、今回のツアーで感じていただければ嬉しいです」
また、人気漫画原作のテレビアニメ『ピアノの森』(NHK総合)に登場する天才中国人ピアニスト、パン・ウェイの演奏を担当している。
「幼少時代に辛い境遇で育ったパン・ウェイは、誰にも心を開かず、いつもクールです。複雑なキャラクターですが、何か自分と共通するものを感じます。強い意志を持ち、まっすぐに音楽に向かって突き進む彼の姿に自分を重ねて、心を込めて演奏しました」
ショパンコンクールのファイナル場面の録音については「実際にコンクールが行われるワルシャワ・フィルハーモニー・ホールで、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団と演奏をしたのですが、まさに自分がコンクールで弾いているような気持ちになり、素敵な体験でした」と語ってくれた。
2019年3月には、パン・ウェイ役の演奏を集めたアルバム『「ピアノの森」パン・ウェイ 不滅の魂』が発売される。
「ショパンの音楽は美しくシンプルで、誰もが魅了されます。でも、ピアニストにとっては難しい作曲家です。何か少しでも余計なものを加えると、音楽が壊れてしまう……。ほかの作曲家とは、まったく違います。とにかく、ピュアな気持ちで楽譜に向き合って演奏しなければなりません。今回の日本ツアーでは、『ピアノ・ソナタ第2番』『舟歌』『スケルツォ第3番』などを聴いていただきます。僕のショパンへの想いを感じていただけたらいいですね」
丑年生まれで、牛牛(ニュウニュウ)は幼い頃のニック・ネーム。すらりとした精悍な若者になった今でも、この名前が気に入っているという。ピアノ以外に好きなことは?と尋ねると、意外な答えが……。
「料理ですね。カップケーキやティラミスなど、お菓子も作ります。気分転換になるんです。作曲も好きです。クラシックだけでなく、ポピュラーやジャズのような曲も作ります」
今回の日本ツアーで、自作の曲を聴かせてくれるかもしれない!豊かに成長した牛牛(ニュウニュウ)の今後の活躍が楽しみだ。
2019年
5月12日(日) ザ・シンフォニーホール(大阪)
5月19日(日) 安城市民会館(愛知)
6月15日(土)文化パルク城陽(京都)
6月19日(水)福岡シンフォニーホール(福岡)
6月21日(金)琉球新報ホール(沖縄)
6月23日(日) 佐賀市文化会館(佐賀)
6月26日(水) 浜離宮朝日ホール(東京)
日時:2019年6月29日(土)15:00開演(14:15開場)
会場:大田区民ホール アプリコ(東京都大田区蒲田5-37-3)
出演:大友直人(指揮)、牛牛(ピアノ)、読売日本交響楽団(管弦楽)
曲目:ショパン『ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11』、ブラームス『交響曲第1番 ハ短調 作品68』
お問い合わせ:TEL.03-3750-1555(チケット専用番号/10:00〜20:00)
『リスト:ピアノ・ソナタ〜ヴィルトゥオーゾ&ロマンティック・ピアノ作品集』
発売元:ユニバーサルミュージックジャパン
価格:2,800円(税抜)
発売日:2018年9月19日発売
『「ピアノの森」パン・ウェイ 不滅の魂』
発売元:日本コロムビア
価格:2,500円(税抜)
発売日:2019年3月27日発売
文/ 森岡葉
photo/ 阿部雄介
tagged: ピアニスト, 牛牛, ピアノの森, リスト:ピアノ・ソナタ〜ヴィルトゥオーゾ&ロマンティック・ピアノ作品集, 「ピアノの森」パン・ウェイ 不滅の魂, ピアノ
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