音楽を学ぶ人、学んだ人たちに心からのエールを!(前編)
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話題の書『「音大卒」は武器になる』『「音大卒」の戦い方』の著者、大内孝夫氏と、事業開発コンサルタントでソプラノ歌手の秋山ゆかり氏が初対談。音楽を学ぶ人が音楽を人生の軸として生きるために必要なものとは何か、を熱く語り合った。
幼い頃からピアノを習い、14歳で当時の師の勧めにより声楽家志望へと転向した秋山さん。両親の教育方針で総合大学に進んだが、音楽学部とアーティスト養成プログラムのある大学を選び、在学中も音楽の勉強は続け、音楽活動と仕事を両立する将来を描いていった。
- 秋山
- 大学には物理学で入学し、その後情報科学部に移って同時に統計学も学びました。将来、音楽活動と両立しやすい職業につける、という先輩の貴重なアドバイスがあったからです。
- 大内
- 就職されてからは、新規事業の立ち上げなど、大きなお仕事をしながら音楽活動を続けられたそうですが、両立は大変ではなかったですか?
- 秋山
- 子どもの頃に学校とピアノの練習を両立してきたのと同じように、仕事が終わった夜や週末に、音楽の勉強をしました。出張中の移動時間を活用して楽譜を読み込むこともできます。勉強の時間を作り出す工夫は、音楽を学ぶ人たちの得意とするところです。
- 大内
- 私が音大の学生たちに感心するのもそういうところです。これまでの2冊の本にも書いたことですが、学生たちは日々の練習やレッスン、演奏会など、忙しいなかで時間をやりくりして勉強しています。こつこつと努力を重ねる姿勢や、それができる能力は、社会人としてとても役立つものです。音大生たちはそれを普通のことと思って自分たちの優位性をあまり認識していないのですが、実はとても優れている点です。
- 秋山
- また、音楽を学んだ人たちは基礎練習の大切さを誰よりもわかっていて、それを淡々とこなせるのもすごいことだと思います。ビジネスでも基礎練習をしっかりやった人は、2年後、3年後の実力のつき方がまったく違います。そうした能力も、もっとアピールしていいと思います。
- 大内
- これまでいろいろなことの基礎練習を怠ってきた私にとっては耳が痛い話(笑)ですが、まったくもって同感です。先日の新刊出版記念シンポジウムで全日本ピアノ指導者協会(PTNA)の福田康成専務理事も同様のことをおっしゃっていました。音大出身者の入社後の仕事ぶりを見ていると、2、3年したところで爆発的に成長し始めるというのです。それはきっと基礎力を身につけているからですね。
>後編へ続く