今月の音遊人
今月の音遊人:秋川雅史さん「今は声を磨くことが楽しい。まだまだ成長途中で、人生を上っている段階です」
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「無色透明」な音を再現、ヤマハのオーディオ技術を結集したフラッグシップモデルNS-5000を大解剖!
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2016.7.15
2016年7月発売のフラッグシップスピーカー「NS-5000」。オーディオに興味のある人たちの間では話題となっている製品で、価格はペア(2台1組)で150万円という高級モデルです。
その外観は、今ではちょっと懐かしい感じもする3ウェイの大型ブックシェルフタイプ。ブックシェルフ型のため写真ではコンパクトなサイズに感じますが、横幅395mm、高さ690mmとかなり大きめです。ベテランのオーディオ好きの人ならば、このデザインには見覚えがあるでしょう。そう、ベリリウム振動板を採用し、業務用機としても使われた名機「NS-1000M」と同じスタイルです。今回、ヤマハの最新技術で蘇ったのがこのNS-5000というわけです。
ヤマハがオーディオ技術を結集して開発したNS-5000。その最大の特徴は、振動板の素材です。ベリリウムに匹敵する音速を持つ日本生まれの化学繊維ZYLON®を100%使用したベース素材に、独自のモネル合金を真空蒸着しています。これを、なんとツィーター、ミッドレンジ、ウーファーのすべてのユニットに採用。すべてのユニットの振動板を統一することで音色と音速を統一し、滑らかで自然な音の再現力を獲得しています。
また、ツィーターとミッドレンジの背面には、振動板の背後に出る音を抑える、R.S.チャンバーを新開発して装着。複雑な形状のチャンバーを取り付けることで、共鳴を打ち消し、フラットな周波数特性を実現。そして、エンクロージャー内で発生する定在波(特定の波長の音が反響を繰り返し響きが長く続くこと。日光東照宮の鳴き龍現象が有名)を効果的に打ち消すJ字型の新開発アコースティックアブソーバーを配置。こうしたパーツを組み合わせることで、エンクロージャー内の定在波や共振を抑えるために必要とした大量の吸音材を大幅に減らしています。これにより、微小な信号を損なうことなく、より情報量の豊かな音を実現しています。
こうしたユニットを収めるエンクロージャーも見逃せません。北海道産白樺の積層合板を使ったその構造は、総三方留め構造などの伝統的な工法で強固に組み立てられ、さらにコンピューター解析によって要所に補強の桟を配置、ボディの不要な振動を徹底して抑える構造とし、音の濁りの原因を排除しています。そして、表面の仕上げは深い艶が美しいピアノフィニッシュ。ヤマハのグランドピアノと同じピアノ専用塗料と下地材を使用し、入念な研磨工程を経て美しい鏡面仕上げとなっています。この質感豊かな仕上がりは、最高級のフラッグシップモデルにふさわしいものです。
このほかにも、背面のバスレフポートには、風切り音を抑えるツイステッドフレアポートを採用するほか、ネットワーク回路からスピーカー端子まで、あらゆる面においてこだわりがあふれています。その音は、ひと言でいって「無色透明」。スピーカーとしての音の主張をいっさいすることなく、演奏がありのままに再現されるような鳴り方をします。こういった忠実度の高い音を聴かせるスピーカーは他にもありますが、3つのユニットが同じ素材の振動板であるため、音色の一体感、ZYLON®ならではの音の立ち上がりの俊敏さ、豊かな低音を淀みなく鳴らし切るエネルギー感などが相まって、演奏というよりも、演奏者が曲に込めた想いまで含めた音楽そのものを鳴らすような感覚があります。
NS-1000Mなどのヤマハスピーカーに憧れていた人ならば、きっと期待通りの音だと感じるはず。若い人にとってもNS-5000のリアルな表現力には驚かされると思います。高嶺の花ではありますが、長い間多くの人の憧れになるであろう、魅力的なスピーカーです。
従来のスピーカー設計の枠に捉われない新概念の技術と素材に挑戦し、これからのHiFiスピーカーの理想を指し示す新たな標準器として開発したフラッグシップ3ウェイブックシェルフスピーカー。
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文/ 鳥居一豊
tagged: スピーカー, NS-5000, フラッグシップ, ブックシェルフ
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