Web音遊人(みゅーじん)

NS-5000 Web音遊人

「無色透明」な音を再現、ヤマハのオーディオ技術を結集したフラッグシップモデルNS-5000を大解剖!

2016年7月発売のフラッグシップスピーカー「NS-5000」。オーディオに興味のある人たちの間では話題となっている製品で、価格はペア(2台1組)で150万円という高級モデルです。

その外観は、今ではちょっと懐かしい感じもする3ウェイの大型ブックシェルフタイプ。ブックシェルフ型のため写真ではコンパクトなサイズに感じますが、横幅395mm、高さ690mmとかなり大きめです。ベテランのオーディオ好きの人ならば、このデザインには見覚えがあるでしょう。そう、ベリリウム振動板を採用し、業務用機としても使われた名機「NS-1000M」と同じスタイルです。今回、ヤマハの最新技術で蘇ったのがこのNS-5000というわけです。

ヤマハがオーディオ技術を結集して開発したNS-5000。その最大の特徴は、振動板の素材です。ベリリウムに匹敵する音速を持つ日本生まれの化学繊維ZYLON®を100%使用したベース素材に、独自のモネル合金を真空蒸着しています。これを、なんとツィーター、ミッドレンジ、ウーファーのすべてのユニットに採用。すべてのユニットの振動板を統一することで音色と音速を統一し、滑らかで自然な音の再現力を獲得しています。

ツィーター/ミッドレンジ/ウーファーのすべてにベリリウムに匹敵する音速を持つZYLON®素質を採用

ZYLON®の特性を活かしながら、振動板の固有共振によるピーク/ディップを発生させないソフトドーム形状に仕上げることで、周波数特性を平坦化し、音色と音速も全帯域にわたって統一。聴き心地の良さと厳密な音の再現力を最高度に達成した。

また、ツィーターとミッドレンジの背面には、振動板の背後に出る音を抑える、R.S.チャンバーを新開発して装着。複雑な形状のチャンバーを取り付けることで、共鳴を打ち消し、フラットな周波数特性を実現。そして、エンクロージャー内で発生する定在波(特定の波長の音が反響を繰り返し響きが長く続くこと。日光東照宮の鳴き龍現象が有名)を効果的に打ち消すJ字型の新開発アコースティックアブソーバーを配置。こうしたパーツを組み合わせることで、エンクロージャー内の定在波や共振を抑えるために必要とした大量の吸音材を大幅に減らしています。これにより、微小な信号を損なうことなく、より情報量の豊かな音を実現しています。

新開発R.S.バックチャンバー 新開発アコースティックアブソーバー

(写真左)ツィーターとミッドレンジに装着した新開発R.S.バックチャンバー。(写真中・右)新開発のアコースティックアブソーバーと設置イメージ。

こうしたユニットを収めるエンクロージャーも見逃せません。北海道産白樺の積層合板を使ったその構造は、総三方留め構造などの伝統的な工法で強固に組み立てられ、さらにコンピューター解析によって要所に補強の桟を配置、ボディの不要な振動を徹底して抑える構造とし、音の濁りの原因を排除しています。そして、表面の仕上げは深い艶が美しいピアノフィニッシュ。ヤマハのグランドピアノと同じピアノ専用塗料と下地材を使用し、入念な研磨工程を経て美しい鏡面仕上げとなっています。この質感豊かな仕上がりは、最高級のフラッグシップモデルにふさわしいものです。

「NS-1000M」の伝統を継承する30cm 3ウェイブックシェルフ型

総三方留め構造の30cm 3ウェイブックシェルフ型エンクロージャー。

このほかにも、背面のバスレフポートには、風切り音を抑えるツイステッドフレアポートを採用するほか、ネットワーク回路からスピーカー端子まで、あらゆる面においてこだわりがあふれています。その音は、ひと言でいって「無色透明」。スピーカーとしての音の主張をいっさいすることなく、演奏がありのままに再現されるような鳴り方をします。こういった忠実度の高い音を聴かせるスピーカーは他にもありますが、3つのユニットが同じ素材の振動板であるため、音色の一体感、ZYLON®ならではの音の立ち上がりの俊敏さ、豊かな低音を淀みなく鳴らし切るエネルギー感などが相まって、演奏というよりも、演奏者が曲に込めた想いまで含めた音楽そのものを鳴らすような感覚があります。

NS-1000Mなどのヤマハスピーカーに憧れていた人ならば、きっと期待通りの音だと感じるはず。若い人にとってもNS-5000のリアルな表現力には驚かされると思います。高嶺の花ではありますが、長い間多くの人の憧れになるであろう、魅力的なスピーカーです。


ヤマハスピーカー技術紹介「R.S.チャンバー」

ヤマハスピーカー技術紹介「アコースティックアブソーバー」

■NS-5000

従来のスピーカー設計の枠に捉われない新概念の技術と素材に挑戦し、これからのHiFiスピーカーの理想を指し示す新たな標準器として開発したフラッグシップ3ウェイブックシェルフスピーカー。
製品の詳細はこちら

NS-5000スペシャルサイトはこちら
NS-5000試聴会の情報はこちら

 

特集

三浦文彰

今月の音遊人

今月の音遊人:三浦文彰さん「音を自由に表現できてこそ音楽になる。自分もそうでありたいですね」

6238views

音楽ライターの眼

作曲と演奏という相反する力学から見たジャズとクラシック

6350views

トランスアコースティックギター「TAG3 C」

楽器探訪 Anothertake

デジタル技術が広げるアコースティックギターの可能性──トランスアコースティックギター「TAG3 C」

3942views

暖房

楽器のあれこれQ&A

ピアノを最適な状態に保つには?暖房を入れた室内での注意点や対策

64715views

コハーン・イシュトヴァーンさん Web音遊人

おとなの楽器練習記

【動画公開中】ハンガリー出身のクラリネット奏者コハーン・イシュトヴァーンがバイオリンを体験レッスン!

11741views

重田克美

オトノ仕事人

スポーツやイベントの会場で、選手やお客様のためにいい音環境を作る/音響エンジニアの仕事

11117views

HAKUJU HALL(白寿ホール)

ホール自慢を聞きましょう

心身ともにリラックスできる贅沢な音楽空間/Hakuju Hall(ハクジュホール)

27037views

こどもと楽しむMusicナビ

1DAYフェスであなたもオルガン博士に/サントリーホールでオルガンZANMAI!

4152views

小泉文夫記念資料室

楽器博物館探訪

民族音楽学者・小泉文夫の息づかいを感じるコレクション

11639views

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う 結成30年のビッグバンド

われら音遊人

われら音遊人:年齢も職業も超えた仲間が集う、結成30年のビッグバンド

11538views

山口正介 Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

マウスピースの抵抗?音切れ?まだまだ知りたいことが出てくる、そこが面白い

6623views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

35001views

おとなの楽器練習記:岩崎洵奈

おとなの楽器練習記

【動画公開中】将来を嘱望される実力派ピアニスト、岩崎洵奈がアルトサクソフォンに初挑戦!

13065views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

世界に一台しかない貴重なピアノを所蔵「武蔵野音楽大学楽器博物館」

25147views

音楽ライターの眼

自分好みの“AIコルトレーン”はジャズの発展に寄与するのか?

3068views

テレビや映画の映像を音楽の力で何倍にも輝かせ、人の心を揺さぶる/劇伴作家の仕事

オトノ仕事人

【サインCDプレゼント】テレビや映画の映像を音楽の力で何倍にも輝かせ、人の心を揺さぶる/劇伴作家の仕事

16969views

みどりの森保育園ママさんブラス

われら音遊人

われら音遊人:子育て中のママさんたちの 音楽活動を応援!

7933views

CLP-600シリーズ

楽器探訪 Anothertake

強弱も連打も思いのままに、グランドピアノに迫る弾き心地の電子ピアノ クラビノーバ「CLP-600シリーズ」

47291views

アクトシティ浜松 中ホール

ホール自慢を聞きましょう

生活の中に音楽がある町、浜松市民の音楽拠点となる音楽ホール/アクトシティ浜松 中ホール

17363views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

楽器は、いつ買うのが正解なのだろうか?

9637views

これからアコースティックギターを始める際のギターの選び方や準備について

楽器のあれこれQ&A

これからアコースティックギターを始める際のギターの選び方や準備について

18142views

こどもと楽しむMusicナビ

1DAYフェスであなたもオルガン博士に/サントリーホールでオルガンZANMAI!

4152views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

35001views