今月の音遊人
今月の音遊人:仲道郁代さん「多様性こそが音楽の素晴らしさ、私自身もまだまだ変化していきます」
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吹奏楽の初心者を対象に、楽器別に奏法などを解説したシリーズ『パワーアップ吹奏楽!』が大好評だ。楽器の知識、構え方、奏法、練習法など、日々の練習に役立つ内容が満載で「吹奏楽部で楽器を練習中!」という人にとくにお薦め。このシリーズのサクソフォンを執筆したのが田中靖人。東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターとして、またサクソフォン四重奏団「トルヴェールクヮルテット」やソロ活動でも活躍中のサクソフォン奏者だ。
田中がサクソフォンに出会ったのも吹奏楽部。中学一年生当時、まだ初心者に向けた教則本がなく、手にした本は中学生には理解できないところもあったという。「その当時を思い出しながら、初心者にとって的確な内容や言葉を選んでまとめました」
執筆するうえで反映されたのが、中・高生へのレッスン経験や、全国各地での吹奏楽部指導の経験。まるで目の前に生徒がいるかのように、「なぜそうするのが良いのか」をわかりやすい言葉で盛り込んでいる。楽器が吹けるようになる喜びを大切にして、「すぐにできなくても大丈夫」「必ず上達できる」と励ましてくれるので、楽しく練習できる。
第一章では多くの写真を使い、楽器の説明をはじめ、マウスピースやリードの選び方、楽器の手入れ方法などを解説。「とくにマウスピースやリードなどの口元に近い部分は演奏への影響が大きいので、丁寧に書きました」
第二章では、楽器の構え方や呼吸法、アンブシュア、音の出し方を解説。「アンブシュアは人によってよい形が微妙に違うので、美しい響きが出せたら、それがその人にとってのベストです。正解はひとつではないことも伝えたいと思いました」
第三章では、ロングトーンやタンギング、フィンガリングなどの基本テクニック、第四章では「上達のための短時間エクササイズ」を伝授。「音の美しさや表現力に直結するので、美しい音をイメージしながら練習しましょう」(本文より)と、練習でもつねに「美しい音」をイメージして吹くことの大切さを強調する。「奏者の気持ちが音に伝わりやすく、ハートに直結する音」がサクソフォンの魅力。その魅力を表現できるよう、「自分にとってのいい奏法、いい練習法を見つけてほしい」と語る。先輩や先生から吹き方を教わっている人も、改めて奏法を確認するのに役立つはず。「さらにレベルアップしたい」「ちょっとスランプ?」という人も次のステップへのヒントがつかめるだろう。
各楽器のトッププレイヤーが綴る『パワーアップ吹奏楽!』。自分の楽器以外の巻ものぞいてみると新たな発見があるかもしれない。
『パワーアップ吹奏楽!サクソフォン』
著者:田中靖人
発売元:ヤマハミュージックメディア
発売日:2016年6月23日
価格:1,600円(税抜)
詳細、ご購入はヤマハミュージックメディアの本書のページをご覧ください。