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今月の音遊人:五嶋みどりさん「私にとって音楽とは、常に真摯に向き合うものです」
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ホールで聴く?おうちで聴く?フェスタサマーミューザKAWASAKI2020
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2020.7.21
tagged: ミューザ川崎, フェスタサマーミューザKAWASAKI2020, サマーミューザ
毎年夏にミューザ川崎シンフォニーホールにて開催されている「フェスタサマーミューザKAWASAKI」(以下、サマーミューザ)は、日本を代表するプロオーケストラが一堂に会する音楽祭。2019年にはスタートから15回目を数え、参加オーケストラが首都圏から全国へと拡大し、ますます盛り上がりを見せている。そして迎えた2020年、新型コロナウイルスの影響で次々と音楽祭が中止を発表する中、サマーミューザは7月23日からの全17公演のラインナップを発表。ホールで鑑賞できるチケットを各公演600席限定で販売しつつ、全公演をインターネットで配信するという新たなスタイルで開催する。
「この状況のなかでも、スタッフの誰も“中止”とは言わなかったんですよね。たとえコンサートはできなくても、“サマーミューザ”という名のついたイベントは、なにか絶対にやろうと思っていました」
そう語るのは広報担当の前田明子さん。例年は3月に記者発表、4月からチケットを発売していたが、2020年は一度すべてをストップし、十全な感染症対策をとったうえで企画を組み直し、急ピッチで準備を進めてきた。
「スタッフの誰もが、ここで途切れさせてはいけないという気持ちを強く持っていたので、“どんなコンテンツなら作れるか”をずっと検討していました。そんな中から生まれたのが、ホールのWebサイトで配信している“おうちでミューザ”という映像シリーズや、“みんな de ボレロ”というリモート合奏企画です。いざとなったら、こうした映像や過去15年間の音源を集めて音楽祭ができると思って。
今回のサマーミューザでは、作曲家たちがマスクをしているイラストをメインビジュアルに使っていますが、実はこのイラスト、まだ音楽祭が開催できるか分からなかった時期に、“マスクをしましょう”という啓発ポスターを作るために用意したものだったのです。もし音楽祭が開催できなくてもサマーミューザのことは忘れてほしくない、という思いで作ったのですが、結果的には音楽祭のメインビジュアルになりました」
世の中では6月末から徐々にオーケストラの公演が再開しはじめ、サマーミューザも7月初旬のラインアップ発表の時点では、当初から予定されていたほぼすべてのオーケストラの参加が決まった。
「これには私も驚きました。まだ定期演奏会を再開していないオーケストラもあり、当初予定になかった配信もすることになったのに、こんなにも多くの団体から参加のお返事をいただけるとは!本当にありがたいです。日本のトップオーケストラを聴き比べできる音楽祭って、他にはあまりありませんよね。同じホールだからこそ、それぞれの違いがわかって、聴き比べの面白さを味わえると思います。2020年はベートーヴェンの生誕250周年ということで、交響曲の第1番から第8番まですべてがサマーミューザで演奏されます。ぜひ、いろいろなオーケストラの演奏でベートーヴェンを聴いてみてください」
2019年は仙台フィルハーモニー管弦楽団が初参加して盛り上がったが、2020年は群馬交響楽団が初参加となる。さらにオープニングコンサートでは、東京交響楽団が、音楽監督ジョナサン・ノットが指揮する映像とともにベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》を演奏するとのことで、こちらも注目を集めそうだ。
「ノット氏が渡航できないためにご自身で発案された企画ですが、インターネットを介したライブ映像だとどうしても遅延が生じてしまうため、指揮の映像は事前に収録したものを使うそうです。ノット氏にリハーサルの音源を送ってアドバイスをもらうなどして、綿密にコミュニケーションを取ったうえでの演奏になるそうですから、音楽的にきちんと作り込まれたものになると思います」
これまでのサマーミューザとの最大の違いは、なんといっても「オンライン鑑賞券」で家に居ながらにして鑑賞できるということだろう。1公演につき1,000円(税込)でライブ配信とアーカイブ配信(2020年8月31日まで)が視聴できる。さらに9,000円(税込)の「全公演おまとめ券」は、全公演を何度でも好きなだけ楽しむことが可能だ。
「子育てや介護などで会場に足を運べない方々もいらっしゃいますから、コンサートの配信というのは、ホールで生演奏を聴くのとはまた違う需要があるのではと期待しています。しかもサマーミューザを全国の人に知ってもらえるチャンスだと。有料で配信するからには、舞台裏のレポートやインタビューなど、プラスアルファのコンテンツで、生演奏とは別の価値を足していけたらとも考えています。チャット機能もありますので、ライブ配信を見ながら、視聴者同士でわいわい感想を言い合ったり、解説をする人が出てきたりと、そういったコミュニケーションもお楽しみいただけるのではと期待しています。コンサートの大きな楽しみの一つは“人が集まって同じ時間を過ごす”という体験にもあるんですよね。大勢の人が集まることのできない今、“仕方なく”オンラインで配信しているのではなく、日本中の人と一緒に音楽を聴くというスペシャルな体験を提供したいと、むしろポジティブに考えています」
逆境をプラスに変えていくチャレンジ精神に満ちたサマーミューザ。ここから新たな時代の音楽祭が生まれることだろう。
『フェスタサマーミューザKAWASAKI2020』
日時:2020年7月23日(木・祝)〜8月10日(月・祝)
会場:ミューザ川崎 シンフォニーホール
料金、出演、曲目など詳細につきましてはオフィシャルサイトをご確認ください。
オフィシャルサイトはこちら