Web音遊人(みゅーじん)

【優待チケット】クラシック音楽は、“楽譜”で何百年前とつながることができる/上野耕平インタビュー

日本管打楽器コンクールで、史上最年少優勝。東京藝術大学在学中には、サクソフォンコンクールの最高峰アドルフ・サックス国際コンクールで第2位を受賞。輝かしいキャリアを積みつつ、常に新たなプログラムに挑戦し、サクソフォンの可能性を引き出してきた奏者・上野耕平が、このたびヤマハホール10周年の祝祭に登場する。本公演のプログラムに込められた思いや、新たな挑戦についても語っていただいた。

興味があるのはインド民族音楽とのコラボ

上野は、いつも人を驚かせてきた。
『シャコンヌ』を終曲にもつバッハの名曲『無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番BMV1004』をサクソフォンで演奏するという離れ業を見せたのは2017年。2019年には世界的に高い評価を得ている作曲家・藤倉大に委嘱し、和太鼓界の革新者・林英哲氏と共演した『bueno ueno』が大きな話題を呼んだ。
「いろいろな楽器との共演は楽しいですね。最初にこうなるんじゃないかというイメージは持ちますが、やってみると実はこんな感じだったんだという新たな発見が毎回あります」
そんな上野が最近気になっているのが、なんとインドの民族音楽だという。
「サクソフォンが入っているものもあるんです。みんな胡坐をかいて吹いているんですけれどね。もちろん、我々クラシックプレーヤーが出す音やニュアンスとはまったく違うのですが、あのサウンド感は面白いものができるんじゃないかと思っています。サクソフォンは伝統的なものから最新の現代音楽まで活躍の場があって、どこへでも広げていける楽器ですよね」

次に目指すは指揮者?

2020年は、コロナ禍で多くの公演が延期や中止になった。上野の場合も例外ではない。
「大好きなプラモに触れる時間を久しぶりに持てたり(笑)、いろいろなことを考えたり、指揮の勉強をしたり。印象的であっという間の一年でしたね」
指揮?──28歳になった上野から、決意表明にも似た意外な言葉が飛び出した。
「やりたくてしょうがない。どうしてもやりたいことで、やれなきゃ死にきれないです。僕はサクソフォンで音楽を始めて、その後クラシック音楽にどっぷり浸かったわけですが、サクソフォンが参加しないクラシックが多いわけですよ」
これまで、ビゼーの『カルメン』をサクソフォン用にアレンジした『カルメン・ファンタジー for サクソフォン』を発表するなど、サクソフォン奏者としてクラシックの名作に息を吹き込んできた上野。
「そんなふうにアレンジして現代の人と共有するのもひとつの方法ですが、クラシック音楽は作品ありき。オリジナル作品そのものをもっとみなさんと共有したいという気持ちが強いんです。そうなると、やはり指揮者だと」

クラシック音楽はアナログの集大成

また、2020年は“生の音楽”の真価をあらためて感じる一年でもあったという。
「配信には配信の面白さがあり、別の楽しみ方があると気づきましたが、やはり生に限ります。これだけデジタルが発達した世の中ですが、我々がやっているクラシック音楽は、アナログの集大成のようなものだと思うんです。楽譜という情報で何百年前とつながることができる。そして、その空気がその場に蘇り、演奏して聴衆と共有する。こんなにすばらしいものはないと思いましたね」
2021年3月27日には、前年コロナ禍でいったん中止になったヤマハホールでの「上野耕平トリオ」公演も開催されることになった。
共演するのは、これまでも幾度も共演を重ねてきたピアニスト山中惇史、そして東京藝術大学の同級生でもあるパーカッショニスト石若駿というふたりの若手トッププレーヤーだ。
それぞれのオリジナル作品のほか、『bueno ueno』のドラム版の初演、そしてサクソフォンの傑作『サイバーバード協奏曲』まで多彩なプログラムが用意されている。
「それぞれの楽器や個人のキャラクターが刺激しあって音楽が昇り詰めていく、アンサンブルの理想が体験できるトリオです」
独創的な感性とスペシャルな響きで、また新鮮な驚きをもたらしてくれるに違いない。

■インフォメーション

『Yamaha Hall 10th Anniversary
珠玉のリサイタル&室内楽 上野耕平トリオ』

日時:2021年3月27日(土)16:00開演(15:30開場)
会場:ヤマハホール
料金:一般 4,500円/学生 3,500円(税込・全席指定)
出演:上野耕平(サクソフォン)、山中惇史(ピアノ)、石若 駿(パーカッション)
曲目:上野耕平:De-o-chi、石若駿:Dejavu #4、山中惇史:SAKURA、藤倉大:bueno ueno(ドラム版初演)、旭井翔一:サクソフォンとピアノのためのソナタより 第1楽章、吉松隆:サイバーバード協奏曲 Op.59
詳細はこちら
オフィシャルサイトはこちら

オフィシャルFacebook YouTube公式チャンネル オフィシャルTwitter オフィシャルInstagram

■優待チケットの特別販売

本公演の優待チケット(一般:優待価格4,000円/定価4,500円)を10名様分ご用意しました。ご希望の方は、下記「応募はこちら」ボタンからご応募ください。
※ご応募の際は、ヤマハミュージックメンバーズの会員登録(登録無料)が必要です。
応募締切:2021年3月10日 (水) 23:59
応募はこちら

特集

今月の音遊人

今月の音遊人:Crystal Kayさん「音楽がなかったら世界は滅びてしまうというくらい、本当に欠かせない存在です」

2479views

音楽ライターの眼

【ジャズの“名盤”ってナンだ?】#022 メンバーの死を乗り越えて拓いたピアノ・トリオの深化形~ビル・エヴァンス『ムーンビームス』編

1561views

楽器探訪 Anothertake

世界の一流奏者が愛用するトランペット「Xeno Artist Model」がモデルチェンジ

26221views

EZ-310

楽器のあれこれQ&A

初めての鍵盤楽器を楽しく演奏して上達する方法

759views

大人の楽器練習機

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:世界的ピアニスト上原彩子がチェロ1日体験レッスン

17488views

江藤裕平

オトノ仕事人

音楽ゲームの要となるリズムノーツをつくる専門家/『太鼓の達人』の譜面制作の仕事

9660views

人が集まり発信する交流の場として、地域活性化の原動力に/いわき芸術文化交流館アリオス

ホール自慢を聞きましょう

おでかけ?たんけん?ホール独自のプランで人々の厚い信頼を獲得/いわき芸術文化交流館アリオス

8017views

こどもと楽しむMusicナビ

オルガンの仕組みを遊びながら学ぶ「それいけ!オルガン探検隊」/サントリーホールでオルガンZANMAI!

9017views

武蔵野音楽大学楽器博物館

楽器博物館探訪

専門家の解説と楽器の音色が楽しめるガイドツアー

8598views

if~

われら音遊人

われら音遊人:まだまだ現在進行形!多くの人に曲を届けたい

1330views

山口正介さん Web音遊人

パイドパイパー・ダイアリー

いまやサクソフォンは趣味となったが、最初は映画音楽だった

6880views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

30805views

おとなの楽器練習記

おとなの楽器練習記:和洋折衷のユニット竜馬四重奏がアルトヴェノーヴァのレッスンを初体験!

4903views

民音音楽博物館

楽器博物館探訪

16~19世紀を代表する名器の音色が生演奏で聴ける!

11562views

パワーマン5000

音楽ライターの眼

パワーマン5000が新作『Abandon Ship』で訪れる“過去にあった未来”

862views

オトノ仕事人

コンピュータを駆使して、ステージのサウンドをデザインする/ライブマニピュレーターの仕事

5945views

われら音遊人ー021Hアンサンブル

われら音遊人

われら音遊人:元クラスメイトだけで結成。あのころも今も、同じ思いを共有!

5217views

楽器探訪 Anothertake

ピアニストの声となり歌い奏でる、コンサートグランドピアノ「CFX」の新モデル

5121views

グランツたけた

ホール自慢を聞きましょう

美しい歌声の響くホールで、瀧廉太郎愛にあふれる街が新しい時代を創造/グランツたけた(竹田市総合文化ホール)

7332views

パイドパイパー・ダイアリー

パイドパイパー・ダイアリー

楽器は、いつ買うのが正解なのだろうか?

8476views

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

楽器のあれこれQ&A

バイオリンを始める時に知っておきたいこと

8961views

東京文化会館

こどもと楽しむMusicナビ

はじめの一歩。大人気の体験型プログラムで子どもと音楽を楽しもう/東京文化会館『ミュージック・ワークショップ』

7666views

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅 - Web音遊人

音楽めぐり紀行

ポロネーズに始まりマズルカに終わる、ショパンの誇り高き精神をめぐるポーランドの旅

30805views