今月の音遊人
今月の音遊人:渡辺香津美さん「ギターに対しては、いつも新鮮な気持ちでいたい 」
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ギターを際立たせ、弾く人の姿を美しく見せる。“ギターと共に暮らす家具”「solo」「classic」がヤマハから登場
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2021.5.27
ヤマハがデザインを手がけた家具「solo」と「classic」が登場した。ヤマハが家具?そこは楽器総合メーカーとあって、そのコンセプトは“ギターと共に暮らす家具”。「solo」は、ふだんはギタースタンド、そしてギターを手に取ると座って演奏ができるスツール。「classic」は、ギターを収納できるベンチだ。
「solo」は、2020年には国際的に権威あるドイツのデザイン賞「Red Dot デザイン賞プロダクトデザイン2020」を受賞している。
実は、これらは2010年に開催したヤマハデザイン展「Please Please Me」で発表したコンセプトモデルが、10年の時を経て製品化された非常にレアなケースだ。
挑んだのはヤマハの楽器デザイナー。ギターの存在を際立たせながら家具としても美しいミニマルで革新的な造形で、プレーヤーの相棒であるギターの居場所をケースでなく生活空間に創り出した。
暮らしにすっと溶け込む木のあたたかさと洗練されたフォルムをまとい、インテリアとしても魅力的だ。
細身で高さのある三脚のハイスツール「solo」。3本の脚に設けられた突起が印象的だ。2本の脚の低い位置にある突起はギターを立てかける支えとして、残り1本の高い位置に据えられた突起はギターを演奏する際の足置きとなり、安定した演奏姿勢へと導く。
随所にちりばめられた、楽器デザイナーならではの意匠にも注目したい。
なだらかなくぼみを施したピック型の座面は、ギターを立てるときと演奏するときで正面が変わるデザイン。一方、座面の下側はスツールを移動させるシチュエーションを念頭に、持ったときの手触りのよさを意識して丸みを持たせた。
大切なギターのボディを木製の突起に直接立てかけるのは抵抗がある人も多いのでは?そんな思いから革を巻き付けているのだが、実はこれは試行錯誤の末にたどり着いた非常に凝ったつくり。さらに、脚部の付け根に補強のために施されたR形状はギターのヒールの形状と“韻”を踏むなどこだわりはディテールにまでおよび、統一感を生み出している。
一方、曲線と直線がなめらかに連続してギターのフォルムを織りなすベンチが「classic」。そこに座る演奏者の心を温かくしてくれる上質で心地よい質感とともに、ギターの居心地がよさそうなデザインを目指した。ネックの周囲に適度な間を設け、内側にはソフトなレザー風のクッションをしつらえるなど、まるで愛するペットの寝床のよう。
美しさやかっこよさは、楽器における機能性のひとつ。ヤマハの楽器デザイナーはそう考えている。なぜならそれは、演奏者やオーディエンスの心をかき立てる大切な要素。だから、弾く人の姿までもを美しく見せるデザインを。
「solo」「classic」には、楽器づくりのそんな哲学も宿っている。
ギターとともにある暮らしは、きっと気分を上げてくれるはず。
文/ 福田素子
tagged: ギタースタンド, solo, classic, ハイスツール
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