今月の音遊人
今月の音遊人:藤田真央さん「底辺にある和音の上に内声が乗り、そこにポーンとひとつの音を出す。その響きの融合が理想の音です」
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高品位な音を再現するAVレシーバー「AVENTAGEシリーズ」がフルモデルチェンジ!
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2021.6.30
ヤマハAVレシーバーのラインナップは、大きく分けてエントリーモデルのRX-VシリーズとアドバンストモデルのAVENTAGEシリーズの2種類。2020年にRX-Vシリーズが刷新されたのに続き、2021年はAVENTAGEシリーズがフルモデルチェンジして登場する。
新製品は4機種。一体型AVレシーバーの最高峰を目指した11chパワーアンプ 内蔵「RX-A8A」を筆頭に、従来機のハイエンドモデルの後継機となる「RX-A6A」(9chパワーアンプ内蔵)、「RX-A4A」(7chパワーアンプ内蔵)、AVENTAGEシリーズの中では比較的安価でありながらAVENTAGE基準の高性能・高機能を持つ「RX-A2A」(7ch パワーアンプ内蔵)。
まず印象的なのは、インテリアにもなじむミニマルでエレガントな筐体デザインだ。電源ボタンと音量ノブ、ジョグダイヤル以外をタッチパネル化したフラットなフォルムで、ロゴも可能な限り排した。フロントパネルのディスプレイは従来モデルよりも高精細となり視認性が向上。リモコンのほか、専用アプリひとつでも操作できるなどユーザーインターフェイスがより使いやすく、スマートになっている。
もちろん、“外見”だけでなく、“中身”も大きく進化した。
ヤマハのAVレシーバーが支持される理由のひとつは、映画館やコンサートホールにいるかのような感覚と感動が味わえる独自の音場創生技術「シネマDSP」を搭載していること。加えて、ヤマハがこれまで蓄積してきた映画の音声データを基にリアルタイムでAIが解析し、シーンごとに最適な音場効果を提供してくれる「SURROUND:AI」も2018年に発売された一部のモデルに搭載され、非常に高い評価を得てきた。今回のAVENTAGEシリーズでは、その機能がさらにブラッシュアップされている(RX-A4A/A6A/A8A)。
また、Dolby Atmos® with Height Virtualizerにも対応。上方にスピーカーを設置していない5.1ch、7.1ch環境でも高さを含むサラウンドをバーチャル的に再現でき、没入感たっぷり。空間音場をリアルにする立体音響技術AURO-3D®には、「RX-A6A/A8A」がファームウェアのアップデートにより対応予定だ。
臨場感の追求もさらに磨きがかけられている。各スピーカーの設定や室内の音響特性を自動的に計測、補正するヤマハ独自の視聴環境最適化システムYPAOを採用。スピーカー位置の角度や高さまでを含めた精度の高い測定と調整はヤマハならでは。部屋の初期反射を精密に測定して制御するYPAO-R.S.C.も装備している。さらに全帯域のイコライジング処理を64bit演算で高精度に遂行し、誤差に起因する微細なノイズを低減した。(RX-A4A/A6A/A8A)
過去の延長線上ではなく、次のレベルの音質を追求した新モデルは、構造からパーツ、回路設計を刷新した。これまでの技術を用いながらも、一から作り直したのだ。
注目ポイントのひとつは、ハイスルーレート・パワーアンプを全機種に搭載していること。スルーレート(入力レベルの急激な変化にアンプがどれだけすばやく対応できるかを表す指標)を従来モデルの2倍以上に改善し、フラッグシップセパレートモデルの「MX-A5200」に匹敵する性能まで高めた。これにより、音の立ち上がりと立ち下がりが早くなり、たとえば映画なら金属音など立ち上がりの早い音や静寂の表現が明瞭に。ピアノなら強く打鍵したときには強く、弱く叩いたときには弱い音を精密に描写できるなど表現の幅が広くなる。
一方でメカニカル構造も新しくなり、メイントランスの振動に起因するアンプ回路への影響を最小化することでノイズが減り、音の明瞭度が向上した。
また、フレームはより立体的な構造にすることで本体の剛性が増し、よりクリアでシャープ、透明感のある音に。こうした変更も音質を向上させる大切な要因になっている。
一般的にはAVレシーバーは底面4隅の脚で支えられているが、AVENTAGEのシンボルともいえるのが振動を吸収するために中央付近に配された“5本目の脚”だ。今回、RX-A4A/A6A/A8Aではその位置を変更。「この変更による音も改善は本当に大きく、音像がリスナーに近くなり、低音のコンロトールがよくなった」と開発者は胸を張る。
さらに、プリント基板と電源トランスも7年ぶりに全面的にリニューアルされ、音の明瞭度や微細音の表現力の向上、腰の低い低域再現などが実現した。
AVレシーバーという機器には、常に新しいフォーマットに対応していかなければいけないという使命が課せられている。
今回のAVENTAGEシリーズの大きな魅力のひとつは、複数のHDMI入力/出力端子が最新フォーマットに対応している点だろう。映画や音楽鑑賞だけでなく、ゲームでもAVレシーバーが大活躍する今、PlayStation 5やXBOXシリーズXなどに代表される人気の次世代ゲームや映像を楽しめるスペックを備えている。
入力7/出力3(RX-A4A/A6A/A8A)で高精細映像の8K、4Kの入出力が可能。HDMI2.1をサポートし、最大8K/60Hz、4K/120Hzのパススルー伝送が可能となる。色の深さや色域の幅の広さを表現するHDR10+も後日アップデートで対応予定だ。
将来的に新機能が追加できる汎用性を考慮し、デバイスも新たに採用(RX-A4A/A6A/A8A)。DSPチップが旧来の32bitから64bitになったことで、「シネマDSP」や「SURROUND:AI」の高精度処理も可能になり、音質が向上した。開発者が比較視聴したところ、スピーカーの存在感がなくなるぐらい自然できれいな処理ができたという。
ところで、一体型AVレシーバーの最高峰を名乗る「RX-A8A」は、今回発売される他機種と比べてどこがスゴイのか。
AVENTAGEシリーズの“他を寄せつけない”最上位セパレートAVアンプ(AVプリアンプ「CX-A5200」と11chパワーアンプ「MX-A5200」)は、それぞれ30万円と32万円。このコンセプトと構造、素材を一部継承し、セパレートシリーズに肉薄する音質を実現するために開発・設計を行ったのが「RX-A8A」。
「RX-A6A」に2chアンプを加えただけ?いやいや、構造や使われているパーツにもかなり違いがあり、「RX-A8A」にしか採用されていないものがたくさんあるという。そのひとつがプリアンプ部のDACだ。デジタル音声信号をアナログ音声に変換するデバイスだが、これが違うと情報量やある一定の信号に対して出てくるノイズの量がまったく違う。その結果、空気感や音の広がりに大きな差が生まれる。
家で楽しめるコンテンツが増えてきた今、家中のエンタメをより魅力的なものにしてくれる新AVENTAGEシリーズ。比較的手が届きやすいモデルでもパソコンやテレビのスピーカーとはまったく別モノの音場が出来上がるので、まずはそこから始めてみるのもいいだろう。もし予算があるなら、上には上が……。体験したら、きっと手に入れたくなるはずだ。