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今月の音遊人: 上野耕平さん「アクセルを踏み続けることが“音で遊ぶ”へとつながる」
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合奏の楽しさ、ここに再燃!3年ぶりの「ブラス・ジャンボリー2022」開催レポート
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2022.4.12
tagged: 吹奏楽, 織田浩司, チューバマンショー, ブラス・ジャンボリー2022
吹奏楽ファンが待ちに待ったこの日がついにやってきた。初心者からベテランまで、社会人も学生も、さまざまな管打楽器愛好者が多数集まって、その日会った人たちで大合奏を楽しむ「ブラス・ジャンボリー2022」が3年ぶりに開催されたのだ(2022年3月12日(土)横浜港大さん橋国際客船ターミナル「大さん橋ホール」)。
「ブラス・ジャンボリー」は、しばらく楽器演奏から離れていた人や、趣味として楽器演奏を始めたものの合奏の機会に恵まれない人でも、合奏を楽しめる貴重な場。「演奏する楽しみ」を原点に、大規模なコンサートとして2010年から毎年開催されてきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で2020年、2021年は残念ながら中止に。2022年は例年よりも参加者同士の間隔を空け、検温・消毒の励行、30分の演奏ごとに20分の換気、と感染症対策を徹底して開催された。ある参加者は「こうして開催できたのは奇跡!よくぞ開催してくれた」と語った。これは、おそらくこの日集まったすべての人が感じていたことだろう。
13時から2回の休憩をはさんで約2時間のリハーサル、その30分後にコンサートを行う。事前にパート譜を購入し、それぞれに練習してこの日に備えるのだが、吹けないところは休んでもOK。「それで安心して参加できました。初参加だけれど、思い切って参加してよかった。すごく楽しいです」(一人で参加したという女性)。また、「ブラス・ジャンボリー」はリピーターも多い。異なる楽器でも一緒に演奏できる「ファミリー席」では、大学生の息子さんとお母さんが隣同士で演奏する姿もあった。
今回の指揮は、プレイヤーとしてマルチに活動し、自他ともに認める吹奏楽好きとしても知られるサクソフォン奏者の織田浩司さん。スペシャルゲストは、チューバマンとユーフォマンの2人によるユニット、チューバマンショーだ。プログラムは、華やかに幕開けを飾る『ブラス・ジャンボリーのためのファンファーレⅡ』、思いを込めてゆったり奏でる『花は咲く』、ユーフォマンとの共演による『トゥッティ!』『DREAM SOLISTER』(『響け!ユーフォニアム』より)、吹奏楽の定番曲から『エルザの大聖堂への入場』『宝島』など全8曲。限られたリハーサル時間のなか、織田さんは巧みな言葉がけで合奏をまとめていく。休憩のたびに正面の扉が開放され、海風が大会場を一気に通り抜けると、次の練習ではさらに集中力が高まり、最初のうちはたがいに様子見だったサウンドが、どんどん輝きを増していった。
そして迎えた本番。オープニングから驚くほど響きがまとまっている。演奏者たちが疲れないよう、適度なMCを入れながら、織田さんがコンサートを進める。そのなかで思わず発せられた「合奏って本当にいいですね!」という言葉を全員でかみしめながら、演奏はヒートアップしていく。チューバマンショーとの共演に織田さんのサクソフォンが加わり、さらに熱量をあげてクライマックスへ。最高に盛り上がった『宝島』で大熱狂のフィナーレとなった。
響きの余韻のなかに、なんとも言えない充実感が広がる。参加者の表情にも満足感が満ちていた。「社会人になって楽器から離れていましたが、どうしても吹きたくなって、一週間前にこれ(トランペット)を買って参加しました。こうして吹けることがとてもうれしい」「吹奏楽団に所属しているけれど、集まっての練習はほとんどできなくて、合奏するのは本当に久しぶりでした」「音が重なって、そのなかにいる感覚が大好き。私にとって、合奏ができるのはここだけです」(参加者の声)
参加した人の数だけ音楽への思いがあり、それがひとつになって、“この日、ここにしかない音”が生まれた。これこそが大合奏の醍醐味であり、ブラス・ジャンボリーが求められる理由でもある。
チューバマンショーのお2人の「合奏とは、こんなにも価値のあることなんですね」(チューバマン)、「生の音は成分が違っていて、雑音までが愛おしく思えました」(ユーフォマン)という言葉が、「ブラス・ジャンボリー2022」の大成功を物語っている。
文/ 芹澤一美
photo/ 宮地たか子
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