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鬼刑事が警察音楽隊に異動?!豪華俳優陣の演奏シーンも要注目の映画『異動辞令は音楽隊!』/阿部寛インタビュー
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2022.8.9
『ミッドナイトスワン』の公開により国内で一大ブームを起こし、世界各国の映画祭でも大賛辞を受けた、内田英治監督の待ちに待った最新作、警察音楽隊が舞台となった『異動辞令は音楽隊!』が公開される。その構想は、監督がたまたま目にしたフラッシュモブ映像が契機となった。ショッピングモールの広場に置かれたドラムセットに警官が近づき、おもむろに腰掛けて叩き始めると、楽器を持った警官が集まって演奏をするというもの。約2年弱の時間をかけて、刑事ものと音楽という、これまでにない組み合わせの映画が誕生することになる。突然の異動辞令を受ける中年刑事を演じるのは、阿部寛。警察音楽隊のパーカッション担当として配属される。
ここで、ちょっとストーリーを見てみよう。捜査一課でベテラン刑事としての「勘」を武器に、違法スレスレの捜査で鳴らす主人公・成瀬司は、署内からパワハラの告発を受け、捜査の最前線から外されてしまう。しかも異動先は、広報課警察音楽隊。家庭を顧みることもなく、一心不乱に社会と組織のために働いてきた結果、いつしか時代遅れの存在となり、警察のはみだし者となってしまったのだ。
映画は、慣れない音楽隊での活動とともに、署内で頻発するアポ電強盗事件の捜査が重なりつつ進行していく。主人公の成瀬は、アポ電強盗事件の主犯を刑事時代から追いかけていたホシと睨んでいた。しかし音楽隊の身ではなにもすることができない。しかも配属したばかりの音楽隊は廃止の危機に立たされる。そんな時に、新たな事件が起きてしまう──。
俳優陣が内田監督から撮影前に宣言されたのは、「音楽映画なので演奏シーンは吹き替えなし」ということだった。阿部はもちろん他の出演者も、気の遠くなるような楽器練習に取り組むことになる。ドラムはおろか、楽器を演奏したことすらなかった阿部にとっては、新たな挑戦である。
「撮影の3か月前から楽器練習が始まったのですが、ドラムの練習を始めたときは、そもそもリズム的なことが苦手なので、何をどうしていいのか全然わからなくて、もうお手上げ状態でした」と阿部は語る。ドラム指導者とともに1日3時間、ある時は5時間というひたすら努力の練習が始まることになる。
交通課隊員を演じる清野菜名はトランペット担当で音楽大学出身という設定のため、プレッシャーも大きかったはずだ。また、自動車警ら隊員でサクソフォンを担当するのは高杉真宙、同じく自動車警ら隊員の板橋駿谷はチューバ。それぞれが個人レッスンを続け、楽団として全員が顔を合わせたのはクランクイン直前。初めての全体練習で全曲を演奏し終わると、期せずしてその場で大拍手が起こったという。
阿部本人も、ここまで演奏できるようになるとは思わなかったというほど、ドラムの演奏シーンは見事である。指導者から“ドラムの神様”と言われるバディ・リッチの映像を見せられると、その芸術的な繊細さを一瞬でも演技で出してみたいと、役者魂に火がついたという。ゴム製の練習パッドを叩いていた阿部は、本物のドラムセットでの練習に入ると「リアルな音と感覚で、演奏することが俄然楽しくなった」と話す。
撮影が終わってからも、「もっと上手くなりたいので、マイドラムを買おうかと思っていました」というほど、ドラム熱は冷めていない。その情熱が伝わる熱い演技は、警察音楽隊のコンサートシーンで遺憾なく披露されている。
映画内で演奏される曲は多岐にわたる。吹奏楽では定番曲の『宝島』や『威風堂々』、ビッグバンドの王道ともいえる『IN THE MOOD』などだ。またこれらを演奏する俳優陣が用いている楽器にも注目したい。阿部が使用するドラムセットをはじめ、清野のトランペット、高杉のサクソフォン、板橋のチューバなどの管楽器、それからマーチング楽器などはヤマハが提供している。
『音楽なんか何の役に立つ?こんなことをしている間にも悪い奴らは、はびこっているんだ!』。刑事として捜査に加われず、しかも刑事の仕事しか知らない成瀬の葛藤を、はたして音楽は変えることができるのか……。
2022年8月26日(金)全国ロードショー
原案・脚本・監督:内田英治
出演:阿部 寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、板橋駿谷、モトーラ世理奈、見上 愛、岡部たかし、渋川清彦、酒向 芳、六平直政、光石 研、倍賞美津子
配給:ギャガ
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