今月の音遊人
今月の音遊人:村治佳織さん「自分が出した音によって聴き手の表情が変わったとき、音楽の不思議な力を感じます」
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冬、広瀬香美の季節がやってくる—−−−。
長年、ウィンタースポーツのコマーシャルに自作曲が採用され、冬にヒット曲の多いことから「冬の女王」の名を持つ広瀬香美。2017年にデビュー25周年を迎え、国内各地、そして現在拠点とするロサンゼルスでの初ライブともSOLD OUTと大盛況のうちにメモリアルツアーを終えた。さらにオータムツアーではマライア・キャリーの難曲『フォーエバー』にチャレンジ、ボーカリストとしてのキャリアに新たな1ページを加えた。そして広瀬の季節を迎える2018年1月、恒例のウィンターツアーが始まる。往年のファンはもちろん、新しいファンをも魅了するヒット曲満載、盛り上がり必至のプログラムを歌いきる裏側には、長年の鍛錬の積み重ねがある。
広瀬が音楽に触れるようになったのは4歳の時から。両親の勧めでエレクトーン教室に通っていた。だが決して、音楽大好き少女だったわけではなかったという。
「親に勧められて音楽を始めましたが、最初は好きではなかったんです。『18歳まで続けて、そのときに音楽が嫌いだったらやめればいい』と言われ続けてきたのですが、18歳になったときには得意なことは音楽しかない、音楽の世界で生きていこう、と思うようになりました」
国立音楽大学に進みクラシックの作曲を学ぶ一方で、自分なりの音の道を模索。その答えを探しに行ったのがロサンゼルスだった。そこでボイストレーニングを受けながら作ったデモテープが音楽関係者の耳に留まり、日本での歌手デビューの運びとなった。以後の活躍は誰もが知るところ。20年以上に渡ってレコーディング、コンサートを続けている土台を作ったのは、幼少期の練習だという。
「スポーツ選手がそのスポーツを小さい頃から好きで、練習も大好きという話をインタビューなどで見聞きすると、うらやましいですね。『それは、練習も進むでしょう』と思っちゃう。私は練習がいやでしたから。『練習をしなければ遊びに行っちゃダメ』と厳しく言われて……。でも、毎日、毎日練習するうちにそれが習慣になり、練習を続ける力が付きました」
現在はロサンゼルスに在住。ツアーやレコーディングのない普段の日は、午前中に歌の練習、午後に作詞や作曲、楽器の練習というスケジュールを日々、守っている。ミュージシャンという自由業のイメージからは意外だが、この毎日の練習こそが、デビューから25年を経ても、コンサートでハイトーンボイスを出し切れる喉を作っているのだ。
「私にとって音楽は、愛すべき職業なんです。熱い気持ちで臨む一方、マラソンと一緒でマイペースを守ることも大切です。声を維持するために毎日、練習するのは大変なこと。だから子どもの頃の練習で努力するクセを付けてもらえたのは、今となっては宝物だと実感しています」
広瀬の鍛錬は声の維持だけにとどまらない。午後の作曲の時間の中で、行っていることの一つにビルボードチャートトップ200のチェックがある。最新の曲をチャートで追いながら分析する。その中で興味を持ったアーティストのライブには実際に足を運んでみる。ロサンゼルスという一大エンターテインメント都市にあって、先端の音楽に直に触れることで新たなインスピレーションを得ているのだろう。
こうして積み重ねてきた音楽経験に自身の人生経験や実感があいまって、広瀬ワールドが作り出される。ウィンターツアーでは新曲も披露する予定だ。
「25年経って大人になった分、歌詞もメロディのコンセプトも変わってきています。体感したことも曲にはなりますが、それだけではラブソングは書けません。本を読むなど、さまざまな経験をする中で、インスピレーションを得ています」
2018年1月から始まるウィンターツアーは「広瀬香美 Concert Tour 2018『オトナ広瀬スタイルへようこそ』」と題し、全国7都市で開催される。
「皆さんがお聴きになりたい曲が必ず聴ける構成です。新曲も歌いますし、おなじみの曲もアレンジを変えてお送りします。昔の懐かしい私を見たい方、ちょっと違った成長した私を見たいなという方。いろいろな楽しみ方をしていただけると思います」
2018年1月27日から、東京、大阪、福岡、札幌など全国7都市で開催