今月の音遊人
今月の音遊人:佐渡裕さん「音楽は、“不要不急”ではない。人と人とがつながり、ともに生きる喜びを感じるためにある」
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民音音楽博物館が最も大切にしているのは、来館者に生きた音楽を提供すること。16~19世紀の鍵盤楽器が展示されている古典ピアノ室では、平日は1日5回、日曜・祝日は1日7回、専門のスタッフが時代背景などを解説しながら実演(生演奏)を行っています。
「時代の流れによる鍵盤楽器の音色の変遷を、当時の楽器を使って体感していただくことができます。オリジナルの楽器を毎日、何度も弾いているところは、めずらしいのではないでしょうか」
ただし、メンテナンスには手間隙が掛かります。展示室は温度22度、湿度53%にコンピューター制御されており、専属の調律師が週に1~2回の頻度で調律しているのだとか。
また、アンティークオルゴールの実演も出色のひとつ。14台あるなかでひと際目立つのが、1897年製のディスク型オルゴールであるキング・オブ・レジナ。アメリカ最大のオルゴールメーカー・レジナ社が、当時の技術の粋を集めて製作したもので、大判のディスク(鋼鉄製の円盤)を12枚連続で再生することが可能です。重厚感と迫力のある音色を楽しめます。
民族楽器は約900点を収蔵。館長の上妻さんが「これ、珍しいでしょう?」と手に取って見せてくれたのは、キハーダというロバの下あごの骨で出来た打楽器。ラテンアメリカの多くの地域で使われていますが、日本ではなかなかお目にかかれないものだとか。また民族楽器の体験コーナーもあり、壺のようなインドの打楽器のガタムや、タイの木琴のラナー・エーなどの音を鳴らすことができます。
年に数回、テーマに沿って実施される企画展示も見逃せません。取材時(2015年11月)に開催していた、戦後70年「音楽の歩み展」では、70年の音楽史を追いながら、200枚におよぶ国内外の様々なアーティストのCDやレコードのジャケット、愛用の楽器、ステージ衣装などが紹介されており、その膨大な情報量は一日では見きれないほど……。
貴重な鍵盤楽器やオルゴールの音色を聴くことができ、企画展示のたびに新しい発見が得られる民音音楽博物館。実演は休館日を除き毎日行われているので、次の休みの日に立ち寄ってみては?
所在地:東京都新宿区信濃町8番地
アクセス:JR中央・総武線 信濃町駅より徒歩3分
開館時間:11:00~16:00(日曜・祝日は10:00~17:00)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)
※「音楽ライブラリー(資料視聴・閲覧室)」は、火・木・土曜日の11:00〜18:30開館(祝日の場合は休館)
休館日は上記を除く曜日、祝日、8月1日〜15日、年末年始
文/ 武田京子
photo/ 宮地たか子
tagged: 楽器博物館探訪, 民音音楽博物館, キング・オブ・レジナ, キハーダ, 生演奏
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