Web音遊人(みゅーじん)

リコーダー

知れば知るほど奥深い、大人のための「リコーダーの選び方」

大人の趣味として、根強い人気を誇るリコーダー。子どものころに慣れ親しんでいる人が多く取り組みやすい一方、始めてみると思った以上に奥深い楽器だ。そんなリコーダーの選び方や楽しみ方について、ヤマハミュージックジャパンの加藤幸平さんと吉澤美枝さんに聞いた。

木製リコーダーは木の材質が音色と価格に反映

ひと口にリコーダーといっても、ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バス、グレートバスなど音域が異なるさまざまな種類がある。グレートバスともなると、まるで家具のようなサイズで、クルークというホースのような吹き込み管を使って息を吹き入れる。
「大人が始めるなら、アルトリコーダーがおすすめです。人の声にも融合しやすい音域で、耳にも心にも優しいからです」(加藤さん)
さらに、同じアルトリコーダーでも、樹脂(プラスチック)製と木製の2種類の材質がある。リコーダーはもともと木製の楽器だが、価格が手ごろで壊れにくく、メンテナンスも簡単なものとして生まれたのが樹脂製。独特の豊かな音色はやはり木製ならではであり、より演奏を楽しみたいならば木製リコーダーという選択になるだろう。
その木製リコーダーも、木の種類によって音色や価格はさまざまだ。選択肢が幅広いことはメリットだが、何を基準にどう選べばいいのか頭を悩ませる人も多いのではないだろうか。
「材料となる木材は、リコーダーの音色に大きな影響を与えます。木の個性は、そのまま音色の性格になります」(加藤さん)
一般的にメープルなど軽くて柔らかい木は優しくまろやかな音色、黒檀など重くて硬い木の音色には艶やかさや力強さがある。
「軽い木より重い木の方が、価格が高い傾向にあります。まずは、低価格の柔らかい木から始めるのがいいと思います。アンサンブルに向いていて、際立った美しさを発揮するからです。逆に高価格の重い木のものは、ホールなどでソロ演奏するには音がよく飛ぶのですが、合わせようとすると浮いてしまいます」(加藤さん)
どんなスタイルで演奏したいかで選ぶのが、ひとつのポイントといえそう。ツウともなれば、異なる音域だけではなく、同じアルトリコーダーでも材質が違うものを複数本揃える人もいるそうだ。

ヤマハの木製アルトリコーダーはこちら >

木製リコーダーは繊細なので、こまめなお手入れも忘れずに。
「演奏後にはしっかり水分と拭き取る、清潔に保つ、温度や湿度の管理をしっかりすることがポイントです」(吉澤さん)
低音や高音が出にくい、音程がズレてきた、ブレスコントロールがしにくいなど、違和感がある場合はメンテナンスに出すといいだろう。
リコーダーはきちんとお手入れさえすれば、とても長く使える楽器。吹き込むほどに演奏者に寄り添うように変化していくのも、木製リコーダーの魅力だ。

知的好奇心を満たす大人ならではの楽しみも

「リコーダーという楽器の歴史を味わいつつ、演奏してみるという携わり方も大人ならではの楽しみではないでしょうか」(加藤さん)
リコーダーは中世ヨーロッパで完成し、17世紀にはリコーダーだけのアンサンブルやほかの楽器とのアンサンブル、さらに人の声と融合するアンサンブル楽器としても大きな位置を占めていた。バロック時代には華やかに活躍するが、その後フルートにその座を奪われ、衰退する。そして、約150年もの暗黒の時代を経て復活へ。栄枯盛衰のその歴史は、とてもドラマチックだ。

手軽な楽器の代表格と思いきや、想像以上に深い魅力にハマってしまう人も多いリコーダー。ほとんどの人が経験したことがあり、あらためて始めるハードルも低いので、極めてみてはいかがでしょうか。

まとめ
①大人が始めるならアルトリコーダーがおすすめ。
②樹脂(プラスチック)製と木製がある。
③メープルなど軽くて柔らかい木は優しい音色でアンサンブル向き、黒檀など重くて硬い木は力強い音色でホール演奏向き。

リコーダー製品ページ
小学校で使うリコーダーはどう選ぶ?ジャーマン式とバロック式
ドの音が出ない!?リコーダーを上手に吹くためのアドバイスとお手入れ方法
リコーダー、なんとなく選んでいませんか?(バイオマス由来樹脂製リコーダーについて)

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