今月の音遊人
今月の音遊人:諏訪内晶子さん「音楽の素晴らしさは、人生が熟した時にそれを音で奏でられることです」
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30年ぶりのモデルチェンジを進めるに当たっては、「ロングセラーの『P-32D』はなぜ支持を集めたのか?」「より良くできる点があるとすればどこか?」を探っていった開発陣。「P-32D」の楽器としての機能は継承しつつ、より使いやすく、より演奏しやすくなるよう改良が加えられた末、「P-32E」「P-32EP」*が誕生しました。
新モデルとなり大きく変わったのが、座って吹くときの卓奏用パイプに「クリップ」が付いたこと。このクリップが何にどう役立つかピンと来ないかもしれませんが、実はすごいんです。
まずは、子どものしつけに役立つこと。初等教育の学習では「子どもたちにいかに楽器で遊ばせないか」が指導者の悩みどころですが、演奏しないときはクリップにパイプを挟んでおく習慣をつければ遊びの防止になります。
「また、パイプを本体にしっかり装着するためには押し回しながら留める必要がありますが、クリップを付けたことで、小さな子どもの手でも差し込みやすくなりました」と教えてくれたのは、教材楽器の商品企画を担当する林 枝里さん。
さらに、立って吹くときの立奏用吹口が用意されているにも関わらず、多くの子が卓奏用パイプを使っていることから、卓奏用パイプをクリップに挟むことで、立奏時に使いやすくしたのも大きな変化です。
「子どもたちの演奏姿を観察してみると、短い立奏用吹口で鍵盤を横から見るより、長い卓奏用パイプを使って身体の正面から鍵盤を見たほうが演奏しやすいことがわかりました。ただし、卓奏用パイプがたるんで使いにくそうだったため、クリップで長さを調節できるようにしました」と加藤さん。
このように、クリップは子どものしつけを促し、操作性を上げるなど、多くのことを実現する大発明となりました。
「加えて、本体を50グラム軽量化したことも、立奏時の演奏のしやすさにひと役買っていると思います。ただし、軽量化する場所を定めるまでには試行錯誤があり、当初はボディの外側の樹脂を軽くしたのですが、音質まで軽くなってしまったため、内部の空気室(空気が溜まる部屋)を薄くし、骨組みの一部の樹脂を削るにとどめました」(野口さん)
細部の変化ながら、楽器として大きく進化した「P-32E」「P-32EP」。
Take3では、デザインの特徴についてお伝えすることにしましょう。
*ピンクの「P-32EP」は、「P-32E」のカラーバリエーションモデルです。
Take1:懐かしのピアニカを振り返る
Take2:ピアニカを進化させる「クリップ」が誕生
Take3:ピアニカで音楽好きの子どもを育てる
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