今月の音遊人:小曽根真さん「音楽は世界共通語。生きる喜びを人とシェアできるのが音楽の素晴らしさ」

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今月の音遊人:小曽根真さん「音楽は世界共通語。生きる喜びを人とシェアできるのが音楽の素晴らしさ」

ジャズ、クラシック、舞台と、ジャンルを超えた音楽活動を繰り広げる小曽根真さん。根底にあるのは、音楽だからこそできるコミュニケート、そして喜びの共有なのだそう。一度は嫌いになったピアノとの邂逅をもたらしてくれた一曲についても語ってくれました。

Q1.これまでの人生の中で、一番多く聴いた曲は何ですか?

5歳でピアノを始めたもののバイエルがいやでピアノ嫌いになってしまった僕にとって、ジャズピアノへの突破口となった1曲が、オスカー・ピーターソンの『枯葉』です。
中学生のときに叔父からチケットをもらって、ジャズは好きだったけれど、「ピアノかぁ」と渋々行った彼のコンサート。ところが演奏を聴いたとたん、雷に打たれたような衝撃を受けたんです。「ピアノでこんなことができるのか!」って。すぐにレコード店に行って、当時、名盤再発で安くなっていたアルバム数枚から知っている曲の多い『ELOQUENCE(エロクエンス)』を買いました。その中で、サビのアレンジのカッコ良さに惹かれたのが『枯葉』です。毎日毎日くり返し、レコードを聴いては弾いて、聴いては弾いてと、夢中でコピーしました。それこそ母親から「ごはんよ。いい加減にしなさい」って言われるまで(笑)。レコードを聴きながら音を探したあのときのコピーで、かなり耳が鍛えられたと思います。
『枯葉』は、今でもよく聴いています。無性に聴きたくなることがあるんです。聴くとやっぱりすごいなぁって思うし、ホッとするんですね。いまだにジャズピアノに出会った当時の気持ちに戻れる、僕にとっての原点なのでしょう。

ピアニスト 小曽根真

Q2.小曽根さんにとって「音」や「音楽」とは?

“言語”ですね。音楽はリアルタイムで、直接、人と気持ちをシェアできる、僕にとってのコミュニケーションツールなんです。人間の感情って意外とシンプルだと思うけれど、シンプルなものほど表現しにくい。それを表現できるのが絵画や音楽などの芸術です。なかでも音楽は、一緒に音を出すことで、感情を共有しながら、音を作っていける。
楽譜をどう解釈するかということも技術ではあるけれど、自分の中にわいてくる感情をどれだけ正確に音にできるかというのが、音楽的な技術なのだと僕は思っています。それは、自分自身への信頼、楽器への信頼があってこそ、できることなんですよね。

Q3.「音で遊ぶ人」と聞いてどんな人をイメージしますか?

真のコミュニケーター、生きている喜びを実感できる人かな。音楽の素晴らしいところは、喜びを人とシェアできることで、これは世界共通語なんですよね。演奏者だけではなくて、音楽を聴いている人も同じです。プレーヤーがニコニコしながら弾いているようなライブって、お客さんも一緒に楽しんでいるでしょう。
厳しい社会の中では、皆さん、シャッターを下ろすように自分をガードして、大変な日々を乗り切ろうとされていますよね。だからこそ、コンサートを聴くときには、シャッターを開けて心を開放してほしいんです。気持ちがワーッとなる時間を共有したい。遊んでほしいですね。ライブが終わった後に「元気になった」「明日からも頑張ります」と言われると、「あー、楽しんでくれたな」って、うれしいんです。このライブならではの喜びを、お互いに感じられれば最高ですよね。

小曽根 真〔おぞね・まこと〕
バークリー音楽大学を卒業した1983年、米CBSと専属契約を結び、アルバム『OZONE』でデビュー。自身が率いるビッグバンド、No Name Horsesで国内外をまわるほか、オーケストラとの共演、舞台音楽の制作・演奏など、多彩なジャンルで活躍。
小曽根真オフィシャルサイト http://makotoozone.com/

文/ 佐藤雅子
photo/ 後藤泰宏